第40回 「購入」につながる「試す」という過程の演出の仕方がより重要に

【週刊粧業2019年2月4日号12面にて掲載】

 今年も1カ月が過ぎ、春の新製品の発表会やリリースが目に付くようになりました。弊社では、化粧品・美容関心層の消費者を集めて定期的に座談会を開催していますが、そうした新製品情報の入手法や化粧品情報との関わりについて、最近の動向をヒアリングしてみました。

 最新美容情報の入手方法として美容系雑誌を定期的に購入している人は座談会出席者の7割で、雑誌購入者が多いのが美容関心層の特徴です。購入理由は「濃い内容が購入の参考になるから」「単なる商品の紹介でなく、どんな肌にお薦めかといった分析が入っているから」など、情報の質の高さを評価している意見でした。

 一方、購入しない派の意見は「ネットに同じ情報があるので、わざわざお金を出して買わない」「信頼できる人のSNSをフォローしていれば、新しい情報やその人の意見が手に入るため十分満たされる」といったコメントもありました。

 コスメ売場との関わり方ついても、参考になる意見が出てきました。「ブランドによっては店頭の世界観が強すぎて気軽に立ち寄りにくい。体感会などのタッチアップを通じてブランドを知る機会が欲しい」「カウンターがあるブランドはカウンセリングをしてもらえるが、店頭でじっくり試せる機会がないセルフのコスメこそ体感会をして欲しい。例えプチプラでも失敗したくない」など美容活動に積極的な層だけあり、リアルに商品を体験する場を望む声は多く聞かれました。

 弊社のコスメラウンジでは、こうした体験の場を月に十数本ほど主催しています。これまで好評だった体験企画は、「①メンバー限定の店頭での特別カウンセリング、サンプルトライアル」「②テクスチャーだけでなく、ベースからファンデーションを試せる体験型イベント」「③実際に使うマシンとともに試せるエステ商材や美容家電の体感会」の3つです。

 ①は、ハードルが高いと感じるブランドに、購入を前提としない企画を通じて接することで臆することなくじっくり試せ、購入意欲がわくとのことでした。

 ②は、実際に自身の顔で試せるという点が、レクチャー主体型のセミナーより人気を博しました。③は、無償で試す機会が少ないエステマシンや家電が売場でない場所で試せるのは「買わされる」という心配がないことに加え、売場の衛生面も気になるユーザーにとっては貴重な機会とのことでした。

 このように美容関心層の「購入」につながるきっかけや過程も少しずつ時代とともに変化しているようです。「買う前に試せる場」をいかに演出するか。誰もが体験会に参加できる時代、この部分の工夫の余地は大きいといえるのではないでしょうか。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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