【週刊粧業2019年12月9日14面にて掲載】
2019年もあとわずか。今年、中国消費者の人気を集めた日本商品は何だったのか? クチコミデータバンクから今年の傾向を探ってみた。
WEbメディア「中国トレンドExpress」ではクチコミデータバンク「トレンドViewer」から今年1月第1週から10月最終週までの「買った」クチコミデータを抽出し「中国消費者『買った』日本商品ランキング2019」を作成した。
まず、「日本のブランドを買った」というクチコミ件数は2017年から増加を続けており、2019年10月最終週の時点で総計1019万1624件と、1000万件を超えた。
2018年比で37%の成長であるが、クチコミされた商品数で見ると18商品の減少が見られた。2018年と比べると77商品減となっている。
クチコミの件数の増加に対してクチコミされる商品数が減少傾向にある主な要因として、中国消費者の興味が話題の商品に集中し、それから漏れる商品が姿を消していることが考えられる。さらに、日系ブランドだけでなく、欧米、韓国、そして地元中国のブランドも力をつけてきており、市場競争は激しさを増している。
すでに「日本商品だから人気」という考え方はほとんど通じず、むしろ市場淘汰が徐々に始まっているといえるだろう。
この現象は、化粧品市場でも同様で、クチコミデータを「コスメ・美容」セグメントに限定した場合でも、クチコミ件数は2017年から70%の伸びを見せる一方で、商品数においては37商品の減少となっている。
ではそうした市場の中で人気になっている商品を見てみよう。
全体1位となったのは「薬用ローション(ももの葉)」(ピジョン)。続いて2位に「口内炎パッチ大正A」(大正製薬)、3位に「龍角散のどスッキリ飴」(龍角散)、4位に「サントリーシングルモルトウイスキー山崎」(ビームサントリー)がランクインし、昨年の上位陣が若干順位を入れ替えての登場となった。
ただ、「コスメ・美容」セグメントに限ると興味深い変化が見てとれる。
2017年の同セグメント1位は「スクワクレンジング」で、2位の「ガム・デンタルブラシ」(サンスター)を除けばTOP5商品のうち4商品がスキンケア化粧品だった。2018年は1位の「雪肌精」(コーセー)をはじめすべてがスキンケアとなった。
一方、2019年は「スクワクレンジング」と「毛穴撫子 お米のマスク」の2商品だけとなっており、そのほかは美容グッズの「カットコットン」(良品計画)、メイクアップの「SUQQU アイシャドウ」(エキップ)と、商品だけでなく、商品ジャンルにも変化が生じていることがわかる。
従来の保湿や美白といったニーズよりも、毛穴やヘアケアといった、より具体的な悩み、もしくは他の商品よりも「使いやすさ」を追求した商品へとシフトしているように捉えることができる。
昨日の中国は今日の中国に非ず。興味の先にあるモノが大きく変化している現在、常にその声を注視し続ける必要が高まっている。