第31回 アジアのボリュームゾーン市場の可能性

【週刊粧業2016年12月5日号4面にて掲載】

 アジア新興国(中国・香港・台湾・インド・インドネシア・タイ・ベトナム・シンガポール・マレーシア・フィリピン)の個人消費が拡大するなかで、中間所得者層(世帯可処分所得5000~35000ドル)の拡大が注目されています。

 アジア新興国における中間所得者層は、2000 年の2.2億人から、2010年には9.4億人に拡大、2020年には20億人に拡大することが見込まれています。

 このように、これから経済が発展していく新興国の多くはボリュームゾーン、もしくは次の中間層となりうるネクスト・ボリュームゾーンと呼ばれる中・低所得者層ですが、多くの日系企業は富裕層しか攻め切れていないのが現状です。

 多くの日系企業は現地において、「日本では有名でも現地では無名」「中間層向け製品としてオーバースペック」「高騰する広告宣伝費」「先進国と違う流通網」「ローカルメーカーとの圧倒的な価格差」「多様な宗教信仰」「日本より厳しい競争環境」「日本と異なる生活習慣」など、多くの課題に直面しています。

 これらの状況を打破し、日本企業にとってこれからの市場拡大が見込め、より多くの人々の生活向上につながるボリュームゾーン向けの事業を展開していくには、都市部の富裕層向け事業とは異なるノウハウが必要となっています。

 次回は、ボリュームゾーン向けの事業を展開して成功していると言われているフマキラーの事例を紹介し、中低所得者ボリュームゾーン市場のビジネスの可能性と同市場アプローチのポイントを考察したいと思います。
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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

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