【週刊粧業2017年7月17日号4面にて掲載】
財務省貿易統計による2016年の化粧品(化粧水、シャンプー、口紅、香水など16品目)輸出金額が、1985年の統計開始以降初めて輸入金額を上回ることがわかりました。そこで、今回と次回は日本の化粧品輸出入金額と主要輸出国の状況などについて書きたいと思います。
・化粧品輸出入金額(2012~2016年)
財務省貿易統計による化粧品の輸出入金額は、日本からの輸出及び輸入のいずれも長期に渡り増加傾向でしたが、2008年のリーマンショックにより一時的に減少しました。
しかし、その後は再び上昇に転じ、特に輸出金額は2015年以降に急増しています。これにより1990年代後半は輸出金額が輸入金額の約2分の1だったものが近年はほぼ同額に近づき、2016年実績は前年比128.8%の2676億2500万円となり、1985年の統計開始以降、初めて輸出金額が輸入金額を上回りました。
背景には、①アジア新興国を中心とした所得向上による購買力の上昇、②日本の化粧品関連企業の海外需要取り込み策の強化、③訪日観光客のインバウンド需要を起点とする帰国後のリピート需要の増加、などがあると思います。
・化粧品輸出国別構成比(2012年/2016年)
化粧品輸出におけるアジア主要輸出国10カ国(香港、中華人民共和国、台湾、大韓民国、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン)の構成比を以下の表にまとめています。
2012年におけるアジア主要輸出国10カ国構成比は83.2%でしたが、2016年におけるアジア主要輸出国10カ国構成比は93.4%となっており、ここ5年間で10.2P上昇しています。
このことから、アジア主要輸出国10カ国の輸出増加を背景に輸出金額が輸入金額を上回ったということがわかると思います。
おわりに
今回は、2016年の化粧品輸出金額が1985年の統計開始以降初めて輸入金額を上回ったこと、さらには化粧品輸出におけるアジア主要輸出国10カ国の比率が上昇していることを書きました。次回はアジア主要輸出国10カ国の輸出金額や成長率について書きたいと思います。