第41回 台湾企業の日本進出

【週刊粧業2017年11月6日号2面にて掲載】

 世界で3番目の化粧品市場である日本への参入は、今まで欧米系のブランドが中心でしたが、近年はアジア系のブランドの日本進出も増えつつあります。

 今回は、その中でも日本進出へ積極的な姿勢を見せる台湾企業2社(統一超商と森田薬粧)についてお話したいと思います。

・統一超商東京マーケティング

 台湾小売業界最大手である統一超商股分有限公司は、2009年1月、食品や飲料の輸出入卸売を目的に日本現地法人である統一超商マーケティングを設立して日本に進出しました。

 設立当初は食品や飲料を中心にした事業展開でしたが、2004年より台湾で販売する同社オリジナルのフェイスマスクブランド「我的美麗日記(私のきれい日記)」が、台湾へ旅行する日本人女性のお土産として人気が急上昇し、日本に帰国後も購入する日本人女性が増加したため、2012年より日本での販売を開始しました。

 当初はネット販売が中心でしたが、現在はPALTACやシャンティを通じて日本全国のドラッグストアやバラエティストアへの配荷が進んでおります。 特に「黒真珠マスク」や「官ツバメの巣マスク」の2商品が高級感もあり日本ブランドに無いコンセプトの商品ということで人気となっているようです。

・日本森田薬粧

 2017年6月、台湾フェイスマスク市場最大のブランド「DR.JOU―森田薬粧―」を展開する森田薬粧股份有限公司が日本法人である日本森田薬粧株式会社を設立して参入しました。

 背景には、先に日本市場に進出している台湾のフェイスマスクブランド「我的美麗日記(私のきれい日記)」が日本での実績を拡大していることに加え、同社の台湾の直営店における日本人購入者数に近年顕著な増加傾向がみられることがあるようです。

 同社では、2017年9月より関西を中心とするドラッグストア約3000店で3シリーズ7SKUの販売を開始しており、まず関西で市場の反応をみながら2018年には展開数を20SKUに増やし、関東や九州にも取り扱い店舗を広げたいとしています。

 商品についても現在では台湾からの輸入品を取り扱っていますが、日本での生産や日本国内工場設立に向けた検討も進めるとしています。また、2018年にかけては日本市場向けの包装デザインを手掛けるスタッフ増員を予定しています。また、将来的には日本向け商品の台湾への輸出も視野に入れています。

おわりに

 現在、アジアへの輸出金額が増加している日本の化粧品産業ですが、今後、日本のブランドに無いコンセプトを持った台湾、韓国、タイといったアジアのブランドの日本進出も進んでいくと見られ、将来的にはアジアからの輸入金額も増加し、よりボーダーレスなマーケットになっていく可能性もあろうかと思います。
この記事のお問い合わせはこちら

浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

一覧に戻る
ホーム > 連載コラム > 第41回 台湾企業の日本進出

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop