【週刊粧業2018年01月15日号8面にて掲載】
皆様あけましておめでとうございます本年もよろしくお願いいたします。
さて今回は、2017年12月に台湾進出を発表したドラッグストア大手のマツモトキヨシの海外展開について書きたいと思います。
●海外事業の概要
同社では、2012年9月に海外事業推進室が新設され、日本のドラッグストア事業のノウハウや経験を新たな海外市場で発揮すべく事業開発を進めています。
同社の海外事業は、2014年4月にタイ小売業大手セントラルグループと協業を発表、2014年5月にPB商品のテストマーケティングを開始したことに始まります。
その後、2015年10月に海外一号店をタイにオープン、2017年9月末時点で12店舗を展開しています。
また、越境ECへの対応として、2015年9月、中国アリババ社による「天猫国際モール」に出店しています。
同社は中国消費者が日本のマツモトキヨシ店舗での「銀聯カード」による消費記録を分析することで、中国人に歓迎される人気商品を選出、同社のネットショップは主にマスク、健康食品、子ども・ベビー用品など人気ある日本商品を提供しています。
さらに2017年12月15日には、台湾で現地企業との合弁によりドラッグストア事業を展開すると発表しました。地元コングロマリットの台隆工業股フン有限公司をパートナーとし、合弁会社「台湾松本清股フン有限公司」を設立することで合意しました。
資本金は5000万台湾ドル(約1億9000万円)で、出資比率はマツモトキヨシが51%、台隆工業が49%に設定されています。合弁先の台隆工業は、台湾で製造業、流通業、不動産業、金融業を運営・統轄する企業。日本企業との良好な関係のもと、台湾で雑貨店「HANDS台隆手創館」を展開している企業であり、良いパートナーになるのではないでしょうか。
台湾化粧品市場は日本と同様に少子高齢化の傾向がみられる成熟した市場ではあるものの、美と健康の意識が高い消費者が多く、また、日本とトレンドも近しく、親日的な消費者も多いため、化粧品や健康食品の安定的な需要が見込まれると思われます。
●おわりに
アジア地域からの訪日外国人が近年増加する中で、日本の化粧品ブランドと同時に日本の化粧品を販売する日本のドラッグストアの知名度も高まってきており、ドラッグストアにおいてもアジア各国で店舗を展開できる絶好の機会が到来したとも考えられます。
一方、日本の化粧品メーカーが海外進出するにあたっての最大のボトルネックが販路であることを考えると、マツモトキヨシをはじめとしたドラッグストア大手がアジアでの店舗展開を進めてくれることは願ってもないことです。
小職としても、今後のドラッグストアの海外展開を期待してウォッチしていきたいと思います。