第47回 MTGの海外展開

【週刊粧業2018年5月14日号4面にて掲載】

 EMS機器「シックスパッド」や美容ローラー「リーファ」など、美容と健康をテーマに美容機器や化粧品、フィットネス機器などの企画・開発・製造を展開する家庭用電気機器メーカーであるMTGの海外展開の現状とポイントについて見ていこうと思います。

 同社は1996年に設立されたファブレスメーカーで、2017年9月期決算の売上高は410億円(前期比149.6%)と急成長しています。

 海外ではアメリカ、オーストラリア、イギリス、中国、韓国、台湾、香港、マレーシア、シンガポールなど50カ国以上で販売、米国、中国、台湾、シンガポール、韓国に直営店を構えるなど、海外戦略に力を入れており、近年、海外事業の売上高は伸びているようです。

・海外展開のポイント①「進出地域に最適化したチャネル戦略」

 同社では、海外戦略において、チャネルの選択は非常に重要であると考えています。

 国や地域が異なれば、文化や生活スタイルが異なり、ニーズも異なるため、それぞれのエリアに最適な販売方法を模索し続けており、eコマース、直営店、百貨店・専門店、空港や市中の免税店であるトラベルリテールと、複数のチャネル展開を行っています。

・海外展開のポイント②「パートナーの有効活用」

 進出地域に最適なチャネルにおいて最適なパートナー企業とコラボレーションし、パートナー企業の特色を生かし世界中にブランドを発信できるよう努めています。特に専門店とも業務提携をし、特にアメリカやヨーロッパ、中国市場の拡大に努めています。

 具体的には、免税店を展開する「中免集団(中国)」「ロッテ免税店(韓国)」「新羅免税店(韓国)」、ECモールを展開する「アリババ(中国)」、高級百貨店を展開する「バーニーズニューヨーク(アメリカ)」、化粧品専門店を展開する「セフォラ(フランス)」などとパートナーシップを組んでいます。

 現在注力している中国市場では、2017年8月にパートナーシップを組んでいるアリババが運営するECサイト「天猫国際」において、アリババの保有するビッグデータや、中国消費者の消費行動データを提供してもらい、共同で中国向けの新製品開発を行い、天猫国際で販売することで合意するなど、中国市場での攻勢を強めています。

・おわりに

 同社としては、「進出地域に最適化したチャネル戦略」と「パートナーの有効活用」というノウハウをベースに、米国、中国、台湾、シンガポール、韓国など一定のプレゼンスを有する地域以外においても、積極的に市場深耕を進めるとともに新市場を開拓していくと見られますので、今後の同社の動向には注目していく必要があると思います。
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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

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