どのような企業も利益を最大化するために、日々、コスト削減や売上アップに向けて努力を積み重ねています。特にコスト削減は、利益に直結するため、いかにコストを下げられるかに注力することが多いのではないでしょうか。
この時、注意したいのが、どのコストを削減するべきか、さらにその目的を明確にすることが大切です。
無駄なコストは下げる努力はすべきですが、将来の売上、利益につながるためのコスト(投資)をやみくもに下げては、目先の利益は増えても、2年後、3年後の利益にはつながっていきません。
将来のための利益投資となるか否かを見極めながらコスト削減を考えていくことが大切です。
通販会社A社は、ある時、経営陣から利益の創出を強く求められ一時期広告費の削減を行いました。当然ながら、当期の利益を出すことはできましたが、広告費を縮小した分、新規客数も減り、翌年は売上、利益ともに伸び悩む結果となりました。
通販会社でよく見かけるケースが、A社のような広告費削減による利益の創出です。もちろん、非効率な広告の実施は控えるべきですし、リピート体制が整っていない状態で広告費をやみくもに使うことも避けるべきです。
しかし、目先の利益追求のためだけに、広告費を縮小した場合は、当然ながら、翌年にその影響が重くのしかかってくることを忘れてはいけません。
通販会社B社は、会員向けに会報誌を送っていました。ある時、コスト削減を目的に、オンライン化への移行を進め、会報誌の送付を一切やめることとしました。
その結果、会報誌の制作、送付コストは下げることはできましたが同時に、売上、利益ともに大幅に落とすことにつながってしまいました。
一方、通販会社C社は、会報誌を継続して出し続けることにより商品、会社への信頼を深めています。会報誌の発行を継続するため送付するお客様の選定を細かく行い、予算の範囲での実施を実現しています。
先日、新商品を発売したのですが、購入した既存客に購入理由をヒアリングすると会社と商品への信頼の高さが背景にあることがわかりました。会報誌を継続して届けることでお客様から信頼を得ていることがわかりました。
コールセンターも会社としてどう位置づけるかで役割が変わってきます。多くの通販会社では、コールセンターをコストセンターと考えがちで、いかに、通話時間を減らしコストを下げるかに注力する傾向にあります。
しかし、効率ばかりを重視するあまり、早口で話したり、お客様からの質問に対し丁寧な回答ができないといった場面を散見します。結果として、知らず知らずのうちに不満足感を招き、継続率の低下へとつながってしまうのです。
通販会社D社は、VIP客専用の担当者をコールセンターに置き、お客様との関係づくりを強化しています。通話時間の目安も設けずにお客様に合わせて会話をするような体制にしています。
担当者はお客様からの相談に乗りつつ、商品提案を行っていて、継続率、客単価アップを実現させています。
安易なコスト削減は未来の売上、利益を失う恐れが生じます。コスト削減を考える際には、無駄なコストなのか、将来の売上、利益を上げるために必要なコストなのかを区別していくことが何よりも大切です。