【週刊粧業2021年3月15日号6面にて掲載】
コロナ禍においては、自社ECサイトやインスタグラムなどのSNSを使ったライブ配信で行われる「ライブコマース」が注目を浴び始めている。
オンラインに活路を見出したいコスメブランドにとって、ライブコマースは消費者との接点を作り、自社に興味を持ってもらう手段として活用の余地があるだろう。
成果を出す際の重要なポイントは、施策立案の時点でライブコマースの目的を明確化しておくことである。目的の設定は、施策を成功に導く上で不可欠なプロセスだ。
ライブコマースを実施する理由や配信を届けたいターゲット層などは、立ち上げの段階で固めておくことを推奨したい。
ライブコマースの目的や方針を設定した後は、「①配信先のメディア」と「②企画に起用する人物」の選定が肝要となる。図のポジショニングマップを参考に、選定のコツを解説していく。
図の右上は、ライブコマースの目的を「購入促進」に設定したパターンだ。この場合は配信先のメディアに自社ECサイトを使い、起用する人物として社員を出演させる方法が考えられるだろう。
ライブコマースを観るためにわざわざ「企業の公式サイト」に来るユーザーは、その時点で購入意識が高い傾向にあるため、商品の詳細を伝えられる社員の起用が適している。高度なコミュニケーションスキルや丁寧な接客スキルをもった美容部員を出演させるのも手だ。
商品開発者を起用し、開発者だからこそ知っている商品のメリットやベネフィット、開発秘話などを語ってもらうことで、ユーザーの購入意欲を高める方法もある。
専門知識やハイレベルなスキルを持った社員の起用は、購入を後押しする武器になり得るのだ。補足だが、購入へのつながりやすさから発売当日の配信も良策である。
左下は、ライブコマースの目的が「認知向上」のケースだ。認知向上のためにライブコマースを行う際は、配信先のメディアにSNSを選び、美容家やインフルエンサーを起用することを薦める。SNSユーザーに美容法やメークを支持されている人物の起用は、自社ブランドに興味を持ってもらう機会になり得る。
ただし、自社ブランドの世界観とインフルエンサーとの相性が合わない場合、彼らのファンが自社の顧客になってくれる可能性が低い点には、注意が必要だ。
このため、インフルエンサー自身とそのファンの個性は、事前に理解しておくことが得策だろう。
SNS活用が生き残る術になり得るのが、コロナ後の時代だ。ライブコマースも上手に使いこなし、ぜひ売上につなげていってほしい。