第45回 「リアルとリモートの融合」に向けPR手法の変革期の今、取り組むべきこととは?

【週刊粧業2021年3月29日号14面にて掲載】

 コロナ禍に突入してから1年、美容関連のPRの現場も大きく様変わりしました。

 記事化する側の編集者や美容ライターへのアプローチもWeb会議ツールを用いたり、発表会やセミナーもZoomウェビナーやインスタライブ配信等、オンラインがメインとなり、リモート様式が常態化しました。

 変化するPR環境について編集者やライターにヒアリングしてみると、「PR担当からの商品説明や発表会など、各社の情報収集が在宅で済ませられるから、時間を効率的に使える。製品も送られてくるため、持ち運ぶことがなく楽だ。元の状態に戻っても、リモートでのキャラバンや発表会は続いてほしい」と多くの人が話していたのが印象的でした。

 元々大量のタスクに日々忙殺されている編集者やライターにとって、リモートは画期的な時間捻出の機会ともいえるのでしょう。

 また、あるライターは「以前は、リアルで行われる新製品発表会の会場に行きたいけれど、原稿をまだ提出していないのに(その原稿を待っている)担当編集者と会場で鉢合わせした時の気まずさを思うと、つい出席から足が遠のいていた。ウェビナーだと他に誰が出席しているか分からないため、気軽に参加できる」といいます。

 オンラインならではの効率性や覆面性にメリットを感じている人も少なくなく、主催者側にとっても以前では叶わなかった媒体、ライターとも幅広く接点が設けられるのも、リモートがもたらした収穫といえます。

 一方で、「発表会やセミナーはオンライン開催が主流の今、稀に行われるリアル会場での発表会はブランドの世界観に触れられ深く理解ができる貴重な機会だ」「ブランド運営のサロンも実際に足を運び、体験してこそ魅力が伝わる」など、「リアル」こその魅力を挙げる人も少なくありません。

 また、オンライン開催の発表会・セミナーの場合、参加者はいずれもパソコンやスマホ画面を通じて情報を得るため、五感で体感できるリアルな発表会に比べると、他社との差別化が難しく、印象に残りにくいといったデメリットもあります。

 現時点では、最低限のコミュニケーションはリモートによる効率性への貢献度が大きく、質を高める必要性のある機会ではリアルに勝るものはない、といったところでしょうか。

 この点においては、発表会などのイベントは、目的に合わせてリアルとオンラインでの実施を使い分けるなど、メリハリある開催も望まれていくことでしょう。

 PR環境は、今がまさに変革期とも呼べる時期であり、「リアルとリモートの融合」に向け、双方の「良いところどり」をした準備を整えていくことも、今後において重要なポイントといえそうです。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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