第6回 コスメのInstagram活用は「保存数」が重要

【週刊粧業2021年6月21日号11面にて掲載】

 ショッピング機能の搭載によってECサイトへの導線が引かれたこともあり、Instagramは益々「買い物をする場」になりつつある。

 実際、10~30代の女性の約7割がInstagram経由で商品を購入した経験がある(※)という調査結果も発表されている。Instagramを活用して購入につなげるには、どのような指標を設定し、運用するべきなのか。

 はじめに、Instagramのアルゴリズム(各ユーザーのフィードやストーリーズ、発見タブに表示される投稿の順列を判断するもの)の仕組みを確認しておきたい。

 アルゴリズムは、大きくは「コンテンツへの関心の高さ」と「アカウント同士の繋がり度の高さ」で決定される。自社アカウントに対象ユーザーが関心を持っている、または両者の繋がりが強いと判断された場合、投稿はフィードやストーリーズに優先的に表示される。

 こう聞くと「リーチ先の分母を確保するためにもフォロワー数を増やしたい」と思うのは当然だろう。しかし、フォロワー数だけを重要指標にすると成功は遠のく。

 目指すべきは、自社と親和性が高そうなユーザーにフォローしてもらい、関心を持ってもらえるアカウントを設計することだ。

 「コンテンツへの関心の高さ」や「アカウント同士の繋がり度の高さ」を向上するには、どの指標を目標にすべきだろうか。見ておきたい指標は多数あるが、影響力が強く、計測しやすいのが投稿の「保存数」である。

 まずは「保存数の増加」を主な指標に置くとよいだろう。

 保存される投稿のポイントは、コンテンツが「有益」かどうかだ。ユーザーが「後で見返したい」と思うようなコンテンツは、信頼獲得や愛着の醸成、購入に繋がる可能性が高い。

 別のユーザーのタイムラインやフィードの上位に表示されやすくなる利点もある。

 例えば、過去商品と新商品の色味やテクスチャーの違いがわかるスウォッチ写真など、手に取らずとも購入判断がしやすい投稿は保存されやすい。

 Instagramではブランドの世界観を表現した写真が重要だが、カルーセル機能を使い、1枚目に世界観を表した写真を、2枚目に商品の成分やオススメの使い方などの図解を入れた投稿も有効だ。

 売上に影響を及ぼすという観点では、UGC(=クチコミ)数も指標として追うとよい。コスメ商材は、品番でハッシュタグ検索するユーザーが多い。検索結果に表示されるUGCが少ないと購入意欲を醸成しづらく、ECサイトでの購入機会も損失しかねない。

 フィード投稿を工夫することはもちろん、ハッシュタグやストーリーズ、ショッピング機能、リールズなど、実装されている機能は最大限活用したい。

 ストーリーズでインタラクティブスタンプやアンケート機能を使い、ユーザーの滞在時間を伸ばせば、アルゴリズムで優先的に表示されやすくなる。日々の細やかな改善活動が、Instagramを活用した売上アップにつながっていくだろう。
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岡崎佑紀

(株)ホットリンク ソーシャルメディア事業本部 コンサルティング部

「ソーシャルメディアマーケティングにスタンダードを創る」をビジョンに、SNSマーケティング支援サービスを提供。膨大なソーシャル・ビッグデータに基づいた独自のSNS活用メソッドを軸に、企業の認知拡大や売上拡大に繋がるSNSマーケティングを支援しています。

https://www.hottolink.co.jp/

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