連載コラム

激変するコスメマーケット

2021.10.05

第68回 イノベーションのチャンスが来た!

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

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【週刊粧業2021年10月4日号5面にて掲載】

 知人の会社が、新型コロナの影響で仕事が減った旅行関連会社従業員の「出向」を受け入れた。産業によって大きく異なる人材問題。旅行産業や外食産業は人材余剰、家電業界や宅配業界は人手不足という訳で、人手が余っている企業から、人手不足の企業に移動できれば、雇用対策としても有効だ。

 政府も今年2月から、産業雇用安定助成金を始めるなど、出向により労働者の雇用を維持する企業、出向元・出向先の双方への支援を強化している。

 「出向」期間中の就業規則やコロナ禍が収束した後の「転籍」の可能性など、雇用面ではいろいろ検討しなければならない課題も多いようだが、まずは雇用維持には役立っている。

 そんな雇用問題は別にしても、知人は「とても良い効果があった」と実感しているようだ。何しろ10名や20名ではなく、数百人単位で異業種の人材を受け入れたため、現場で思わぬコラボレーション効果が出ているらしい。

 というのもたまたま異業種同士がキャンペーンの業務提携をするのとは訳が違う。多くの社員を受け入れているだけに、いわば毎日が「異文化交流」、考え方の違いに「びっくり」「なるほど」「そうか」などの発見が双方から出ているようだ。

 例えば、知人の会社は物販がメイン、商品(モノ)の使い方を詳しく説明して販売している。ところが旅行業界から出向しているスタッフは、元はカウンターで「旅行(モノではなく体験)」を販売していた。

 お客様の要望に応じてツアーやコースを組み合わせて、カスタマイズして販売することに慣れている。「モノ」にこだわりがない分、クロスセル販売もすぐに対応でき、いろいろな「モノ」を組み合わせてお客様に勧めることが、スムーズにできているらしい。

 このように業種や業界が異なるだけで、ビジネスモデルは大きく異なり、単なる提携や共同開発だけではなく、現場が先に動き始めることで、業務の「発想そのものから転換」できる。

 その結果、業務のイノベーションが進むこともあるようだ。弊社でも最近、化粧品や通販とは無縁の会社との取り組みを始めた。そうすると様々な「気づき」が多く出てくる。

 例えば「保険と化粧品」。保険は将来の災害や怪我、病気、死亡などのリスクに対して保証するシステムなので、それこそ対象案件は千差万別。ならば美容も「将来のキレイを保証する保険付き化粧品」というものが考えられないだろうか?(妄想なのでとりあえず薬機法は忘れたい)

 または、「学校教育と美容」。日本人は昔から子供の美容については、積極的に勧めることははばかられる雰囲気があった。中学生の頃に少しませた同級生がお化粧をして、先生に叱られた記憶がある。

 しかし今日では「ベビー化粧品」も多く出回っている。子供のころから正しい美容意識や美容知識を教えれば、自分の個性に目覚め、容姿をコンプレックスに思うことも少なくなるはずだ。

 さらには「デジタルと美容」。これはすでに現在もスピーディーにイノベーションが進行中だ。非接触の肌診断から、メイクのイメージ画像まで、デジタル技術はいま化粧品分野に大きく貢献している。

 パーソナライズ化粧品やサブスクサービスもデジタル化が可能にしてきた。

 「交通と美容」では、新幹線や飛行機の中に美容室があったら、移動時間に髪を切ったり、カラーリングしたりと、とても便利な気がする。

 このように美容や化粧品も、本来は他の業種とのコラボレーションによって、今日の様々な技術が開発されてきた。異業種交流はイノベーションのチャンスなのだ。そのような視点で今回のコロナ禍を過ごし、価値が転換するアフターコロナの時代を迎えたい。

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プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

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