連載コラム

激変するコスメマーケット

2022.10.07

第72回 アフターコロナ、デジタル越しの顔

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

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【週刊粧業2022年03月14日号5面にて掲載】

 昨年の暮れに「収束するかもしれない」と希望が見えたコロナ禍は、オミクロン株の登場で感染者が急増してしまった。軽症者が多いと言われていたが、じわじわと高齢者にも広がって重症者も増えてきた。

 2020年の初めにコロナの感染が広がり始めた時に、いち早く長期化を予測した著名な学者がいたが、本当にその通りになってしまった。政府や都は「感染は止める、経済は止めない」の掛け声のもとに様々な対策を講じているが、なかなか抜本的な解決はできていないように感じる。

 経済産業省の発表では、化粧品はコロナ禍前に売上を牽引してきた訪日外国人のインバウンド需要が、旅行業界と同じように激減しているらしい。

 また国内需要も外出自粛の影響や、マスク生活の定着で差が大きく、口紅やチーク、ファンデーションの売上が落ち込み、アイメイクやスキンケアは2021年後半からやや上向き、クリームや美容液は伸び始めたということだ。

 ちなみに自分のことを振り返ってみても、メイクは薄化粧だったがコロナ禍になってさらに薄くなった。

 チークは元々あまり使わなかったが、口紅もここしばらく使用していない。アイメイクは変わらず、ただし眉の形には少しこだわるようになった。

 マスクを着けた時にバランスが良くないとなんだかおかしいと感じるからだ。スキンケアはこれまでと変わらない手入れをしてきた。

 ところが最近少し変わったのは、高機能を謳う美容液と少し高いクリームを使い始めたことだ。購入のキッカケはWeb会議である。パソコン画面に映るマスクを外した自分の顔を見て「これはまずい」と実感したからだ。

 コロナ禍前のようにコンシーラーやファンデーション、チークや口紅などで武装している訳ではない。パソコンの前で一人になった時はマスクを外して会話をする。声を発すると自分の顔が大写しになる。

 今のパソコンは画像が鮮明に映るので、いやでも自分のシミやシワ、たるみなどが目に飛び込んでくる。相手もこの画像を見ているので、まるでスッピンを見られているようだと気が付いた。いち早く在宅勤務をスタートさせた働き盛りの男性たちが化粧品に関心を持ち、ファンデーションも使い始めたというニュースの原因はこれだったのかと納得がいく。

 もちろん映像も音声もミュートにしている若い世代もいるが、私たち世代では相手に失礼だと思ってしまうので、その勇気はない。

 これだけ画像が鮮明だと、化粧品の販売現場でのデジタル化はもっと進化しそうな予感がする。自宅からスッピン状態でパソコンの前に座り、遠隔でアドバイザーから指示を受けながらお手入れしてみれば、これほど適切な指導はない。

 店頭でアドバイスを受けるより、より適切なアドバイスが受けられるのではないかと思う。化粧品に限らずあらゆる小売業でお客様「一人ひとりに寄り添う」ことをテーマに掲げている企業が多いが、非接触型の販売方法でもそれは十分可能になるのではないだろうか。

 私たちは東日本大震災を経て、今回のコロナ禍も経験し、一番大切なことは家族とのつながりや毎日の生活を楽しく快適に過ごすこと、つまり身近な幸せが大事だと感じてきた。だから自分の身の回りに起こるストレスや困りごと、不満を我慢しないで解決したいと考えている。

 そのため課題解決の方法、ツールの使い方、心地よさや良い習慣の見つけ方など、プロにアドバイスして欲しいと感じていることが多い。しかも一般的&平均的な方法ではなく、自分に合った方法を見つけたいと思っているのだ。売り込むためではなく、親身になって企業がアドバイスしてくれるなら、受け入れる用意はできていると思う。

 化粧品会社が美容だけでなくライフスタイル全般や健康アドバイスをしてくれるとなれば、聞く耳を持つはずだ。デジタル化は一人ひとりのお客様にもっと近づくためのツールとして活用できるのではないかと感じた。

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プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

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