【週刊粧業2022年7月25日号6面にて掲載】

 メーカーやメディアが「美白」という表現を控えるようになり、「透明感」という言葉が増加しています。

 最近は「透明感を盛る」「透けたい」という変化球のキャッチコピーも出てきました。見出しの事例としては、「トーンアップ&透明感爆盛れの必須アイテム! ピンク&紫の優秀ハイライトをまとめました(BuzzFeed Kawaii5/19)」「〈目指せ透明度100〉透けたくて、春。by 八木アリサ(ar4月号)」などが挙げられます。

 「透明感」という言は、ターゲットによって様々な意味として解釈されており、2022年夏においては、以下の4つに分類できます。

 「A ツヤのある大人の透明感」「B ヘルシーな透明感」「C フェアリーな透け感」「D ピンク、パープル系のキラキラ透明感」の4つです。AとBは大人が、CとDは若者が求めるという傾向があります。

 Aのツヤのある大人の透明感はこれまでも提案されてきたものですが、増加傾向にあるのはBの「ヘルシーな透明感」です。

 見出しの事例としては「メイクアップしても、しなくても(SPUR7月号)」「One For All ジェンダーニュートラルな素肌とニュアンスメイク。(VOGUE JAPAN7月号)」などがあります。特徴は、透明感と直接表現されていない点です。 

 また、ニュートラルな素肌のような透明感を求めているのは、SPURやVOGUEなど、海外志向のモードな感覚をもつ人です。白いかどうかよりも、血色感(とそれに象徴されるヘルシー感)、ムラのなさ、潤いなど、肌の総合点が求められています。

 これを実現するために化粧品だけではなく、美しさを形作る食や運動などのトータルなライフスタイルが反映された美しさに皆の興味や憧れが向いているのです。このターゲットインサイトは、今後ますます増加するものと考えられます。

 Cのフェアリー的透け感も化粧品だけでは叶えられない理想像です。

 「奇跡の透明感レディ 浜辺美波をもっと知りたい(美人百花4月号)」「どんなときも透けていたいのが乙女ゴコロ 透明感をつくる6つのコト。(Ray5月号)」などで、若者の透明感には「儚さ」が求められているのがわかります。

 InstagramやTikTokのフィルターで「肌の血色が良くて健康的な色み、そしてそばかすがたくさんあって、瞳の色は薄い」という、2.5次元的なものをよく見かけます。これも儚さ願望ですね。

 このように、属性によって求める透明感が違うという点に着目することで、新たなヒットの鍵が見つかるので要チェックです。
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廣瀬知砂子

女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント

実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。

http://www.beautybrain.co.jp/

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