【週刊粧業2024年10月28日号9面にて掲載】
先月、韓国コスメの話題を取り上げ、多くの反響をいただきました。「韓国コスメはまだまだ好調」という現状は、確かに間違いではありません。ドラッグストアやショッピングモールに「韓国コスメコーナー」が設置されるなど、マス層への浸透は目覚ましいです。しかし、その一方で、トレンドに敏感な層には、ある種の「飽き」が見られるようになっているのも事実です。
美容系ライターやファッションライターへの聞き取りから見えてきたのは、韓国ブランドの「短期志向」という課題です。短期的な成功や話題性のあるコラボレーション、スタートのコラボレーションに注力する一方で、ブランドを丁寧に育てる姿勢に欠けるという指摘がありました。
短期志向の要因のひとつは、日本と韓国のバイヤーとブランドの商習慣の違いに起因しています。日本では、バイヤーとブランドが長期的な関係を築き、数シーズンにわたる取引を行うのが一般的です。しかし、韓国では短期的な判断で取引を打ち切ることが多いため、ブランドのサイクルが早くならざるをえません。この「早すぎるサイクル」は、韓国コスメ全体のイメージにも影響を与えています。例えば、私が担当しているマーケティングの授業で大学生の購入品をヒアリングしたところ、昨年人気だった「VT リードルショット」はゼロになり、今年は「ナンバーズイン 5番白玉グルタチオンC」の名前が多くあがりました。
このようにめまぐるしく変化する韓国コスメトレンドの渦中にいるのがZ世代ですが、「Z世代マーケティング」とひとくくりにするのは危険です。20歳以下のZ世代はその上の世代とは少し異なる傾向を持っていると、実際に接する中で実感しています。この世代は、中学生の頃からスマートフォンやInstagramに慣れ親しんでいるため冷静です。インフルエンサーマーケティングも、もはや目新しいものではなく、「バズ」にもダマされません。リアルに会う友人や美容師、信頼できるレビュアーなど、本当に信頼できる情報源を重視する傾向が強くなっています。彼らは、情報過多の時代において、「真に価値のある情報を欲している、でも自分で集めるのはしんどい」という矛盾を抱えています。
これからの化粧品マーケティングは、さらに難しくなりそうです。「バズ」や一時的な流行に頼るのではなく、商品力、顧客とのエンゲージメント、そして顧客体験を重視した、より本質的な価値を提供していくという原点を見直す必要がありそうです。
廣瀬知砂子
女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント
実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。
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