【C&T2016年10月号10面にて掲載】はじめに 美容家の佐伯チズ女史の座右の銘に、「子供を叱るな、来た道じゃ。年寄り怒るな、行く道じゃ」がある。子供の姿はかつての自分であり、お年寄りは自分の将来の姿を見せてくれている、ということらしい。 しかし、70代でもピンピンコロリを目指して、日夜努力を重ねてはいるもののいずれは介護を受ける日がくるかもしれない。年齢がわからない見た目を目指す...
【C&T2016年7月号8面にて掲載】はじめに 世界の広告専門のジャーナリストが審査員を務める、「Epica Awards」を昨年受賞した資生堂CMの『High School Girl? メーク女子高生のヒミツ』は、誰もがまんまと騙された。女子高の放課後の教室で、カメラに謎めいた視線を投げかける美しい女子高生たちに思わず“おーっ可愛い!”。実は教室にいた生徒は、全員、高校生も先生も男...
【C&T2016年4月号7面にて掲載】はじめに 一般に油は「肥満のもと」で、不健康と思ってしまう方が多いと思う。化粧品も「油っぽい」 「ベタベタ」はネガティブな表現だ。しかし、私たちの思考や行動の司令塔である脳の約7割は脂質でできている。体は約60兆個の細胞ででき、その細胞をコーティングし、きちんと働けるようにしている主な成分も油、つまり脂肪酸である。 理化学辞典による脂質の定義は「...
【C&T2016年1月号8面にて掲載】はじめに 約71%を水で覆われている地球は、宇宙の「ハビタブルゾーン」である。地球以外の惑星や衛星は、液体の水で存在する例は少なく氷や水蒸気である。液体の水が存在できる温度範囲は高圧ほど広くなる。 NASA(米航空宇宙局)は、火星に今も液体の水が存在していることを裏付ける観測結果を発表したが、火星のような気圧の低い環境では、液体の水は安定的に存在...
【C&T2015年10月号9面にて掲載】はじめに 元気のなさは目にあまる「熟女」ならぬ「熟メン」オヤジの皆さん!バブル崩壊とリーマンショックで「傷ついた戦士」になったままでは、日本の活力は戻ってこない。ある美容調査1)によると、「身体の気になる部分をケアしている」男性は、25~44歳が59.3%となった。 「男の曲がり角」を迎えて、美容に関する意識が高く「中年オヤジ」にはなりたくない...
【C&T2015年7月号6面にて掲載】はじめに 30cmのサバから100㎏のマグロが産まれる? この2種ともサバ科に属する“近縁種”であり、遺伝的に近い魚なので今ではその可能性がある。そもそも魚は体外受精で産まれる。そこでマグロを産ませるといっても、マグロの卵や精子をつくる免疫系が未熟な孵化直後のサバの仔魚との協力関係から研究する。すでにこの操作でヤマメからニジマスを産ませることに成...
【C&T2015年4月号7面にて掲載】はじめに 昨年、夢のリニア中央新幹線が着工した。東京-名古屋間を40分、さらに大阪まで1時間7分での到着を目指している(図1)。 大幅な時間短縮によって名古屋までの開業でも、ビジネスや観光などに約10.7兆円の経済効果があると試算している(三菱UFJリサーチ&コンサルティングより)。 超伝導技術の、海外への輸出も日本経済の強みにできる。しかし、大...
【C&T2015年1月号10面にて掲載】 はじめに 離婚カウンセラーの岡野あつこ女史によれば、「今は、女性が男性を育てる時代」らしい。男性から幸せにしてもらおうという時代は、とっくに終わり、女性が「貴方を幸せにしてあげる」と言える女性作りを推奨している、つまり"KY(可愛く、よいしょ)の法則で5S(スゴイ!さすが!ステキ!最高!...
【C&T2014年10月号7面にて掲載】 はじめに 『ブラック企業』とは、法律違反あるいはそれに近い過酷な雇用環境で若者を使い捨てる企業のことである。その反対に、初期のキャリアにおいて若者を成長させる企業、さらには社会における雇用の質を向上させる企業を、『ホワイト企業』と呼ぶらしい1)。では今の会社は? と聞かれて、「ブラックではないけど...
はじめに 日本は、江戸時代に入ると、上流階級だけではなく庶民も化粧をするようになる。この頃の女性の化粧で、肌に塗るものは白粉である。これに濃淡をつけて塗ることで、質感の違いや顔の微妙な立体感を生み出した。水白粉や粉白粉を刷毛で肌に伸ばし、丹念に丸い刷毛ではたき込み、さらに余分の白粉は別の刷毛で拭って落とすという手間のかかるものであった。 和服は...
はじめに 2013年夏の参議院選挙から、インターネットを選挙に利用する「ネット選挙」が解禁になった。日本では遊説先の予定など「お知らせのような内容で、盛り上がりに欠けた」との声がある一方で、米国ではオバマが最初の大統領選でネットを使って巨額の寄付金を集め、韓国の大統領選にも2007年に採用されている。 今や、インターネットを無視して誹謗や中傷の...
はじめに 2020年のオリンピック開催地の東京のライバルは、イスタンブールだった。国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会に市民の支持率の高さと「イスラム圏初の開催」をアピールしていた。イスラムと聞くと、原理主義、テロ、宗派対立といった一側面が極端に拡大歪曲されたイメージが先行するが、実はこの地域は、ポストBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)市場としてとても...
はじめに 化粧品は、一体何からできているの? と聞かれ、1アイテム当たりおよそ30品目以上の処方構成の中で作られているので......しかし、一番多く使われている原料は水であると思う。まさに水商売である。その次は、処方構成からいってさまざまな油脂がくるのだろう。 では、その原料はどこで誰がつくったの? と聞かれ、天然由来や合成由来だけでは回答が...
はじめに NHKの大河ドラマ『八重の桜』のヒロイン、山本八重は2度結婚している。最初の相手は洋学者の川崎尚之助で、川崎尚之助の妻と記載された史料はあっても、「川崎八重」の記述は見出せない。新島襄と再婚した1876年の時点でも「山本八重」と名乗っていただろう。「新島八重」と名乗るのは、1898年に明治民法が施行されたのちのことである(図1)。 (図...
はじめに 姓氏研究家の森岡浩によると、日本人の苗字30万種のベスト10は佐藤、鈴木、田中、渡辺、伊藤、山本、中村、小林、加藤の順であるという。友人・知人、ご近所に同姓の方が何人もおられることだろう。明治政府は、1870年(明治3年)に「平民苗字許可令」を発令し、それまで貴族と武士しか名乗れなかった苗字を平民も名乗れることを許可したが、平民は税金徴収策と疑い許可を求める...
はじめに 日本の化粧品市場はどう? と聞かれてどのように答えるだろうか。―少子高齢化が進む中、国内化粧品市場は単品アイテムの展開や販売チャンネルの多角化により、競争の激化が進んでいる。リーマンショックや大震災の影響で1兆5000億円だった市場規模が1兆4000億円にまで下がり、その後の回復も充分ではない。大手メーカーも海外市場は善戦しているものの国内市場は低迷感がある...
はじめに 『韓流』ブームを背景に韓国化粧品の人気が伸びている。日経産業地域研究所が東京・新大久保地区の女性に韓国化粧品のイメージ調査をしたところ、複数回答で首位「低価格」56.6%、「美容・健康によい」39.5%、「個性がある」28.9%となった。 カタツムリなど個性的なアイテムの誕生を、宣伝力が弱い日本の中小メーカーも真撃に学んでいいのではな...
はじめに 「エコノミー」すなわち経済を重視する考えと、「エコロジー」すなわち環境を重視する考えは対立すると考えてしまう。そもそも「エコノミー」も「エコロジー」も"家"や"家庭"を意味するギリシャ語の「オイコス(OIKOS)」を語源としている。経済も環境も根っこは同じである。自分一人の「エゴ(利己主義)」を第一に生きるのではなく、...
はじめに 京都大学霊長類研究所でヒトが本能的にヘビを恐れる理由は「色」にあることを発表した1)。4~5歳の子供111人を対象に行った実験によると、視覚探査でヘビを選ぶ反応時間はカラー画像の方が白黒より短いことがわかった。 イヌやネズミより嗅覚が衰えた分、私たちは「色」をみる視覚が発達したとも見られている。メイクアップ化粧品の微妙な色は、私たちの...
はじめに 化粧品はいつからするようになったのか?実はホモサピエンスの2万5000年前の埋蔵品から、身体に化粧品が使われていた形跡が見つかっている。記録では、紀元前2500年の古代メソポタミアの都市テロで発見された粘土板に刻まれた楔形文字に石鹸処方が書かれている。また、紀元前2000年頃のエジプトのベニハッサン墳墓の壁画には、洗濯の動作の壁画が描かれている(図1)。...
はじめに 化粧品は厚労省の定める薬事法のもとに管理されている。つまり「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。......(後略)」。さらに医薬部外品は化粧品の効果に加えて、にきびを防ぐメラニン色素...
はじめに まず、最初に図1を見て頂きたい。 (図1 フレーザーの錯視) 黒い斑点状のエレメントが、らせんのように配置されているように見えたと思う。ではそのエレメントに沿って指を動かしていただきたい。実はこれでわかったように本当は同心円状に配置されている。これは103年前に英国の心理学者ジェームス・フレーザーが論文に発表し...
はじめに 日本で「化粧」ということばが使われたのはいつからだろう?『枕草子』に「けそう」の読みが出てくるのが、化粧に関する最も古い記述らしい。その後、「仮相」「化生」「仮粧」などが同じ意味で使われてきたが、その意味はいずれも「顔をきれいにすること」と対象が顔に限定されていた。一方、英語のCosmetics(化粧品)は「白粉、ローション、ならびに肌色、皮膚、毛髪、爪など...
はじめに 世界的に有名な宝飾品および銀製品のブランド、ティファニーが1837年から使用している色、ティファニー・ブルー(TIFFANY BLUE/TIFFANY BLUE BOX 図1)は商標登録されていることをご存知だろうか。 図1 ティファニー・ブルー(TIFFANY BLUE/TIFFANY BLUE BOX) ヴィ...
はじめに 私が2010年の2月に米国出張していた時に、日本以上にテレビのニュースは「TOYOTA」「RECALL」の話題一色だった。 発端はブレーキの不具合で家族3人が死亡したという事故へのトヨタの対応だった。2月4日の記者会見で品質保証担当重役は、「ブレーキが利かなくなったことには違和感を持つ可能性がある」と認めながら車両欠陥の認識はないこと...
はじめに 化粧の歴史は、クレオパトラやシバの女王などの歴史上の人物などに見ることが出来る。化粧は女性を美しく飾るための方法として、様々な天然材料で作られてきた。しかし現代の化粧品のほとんどは、石油化学の合成によって生み出された成分が使われている。中には天然素材にこだわり抜いた化粧品もあり、産地や生産者を指定し無農薬や非遺伝子組み換え(Non-GMO:Non-Genetically...
はじめに 野球ファンならば「51」といえば、大リーグ・シアトルマリナーズのイチロー選手が頭に浮かぶ方が多いかもしれない。私の場合は、頭の隅にある化粧品原料リピジュア®(日油〈株〉製)の表示名称ポリクオタニウム「51」も浮かぶ。実はこの原料をリピジュア®として小分けしネット販売しているサイトをみつけた。目的は手作り化粧品材料としてそのサイトに「高級化粧品に配合されていることが多い(...
はじめに 化粧品の知識は、有象無象の情報を読み解く力が必要である。例えばよく「コラーゲンは肌にいい」といわれる。しかし、コラーゲンを多く含む食品を食べたとしても、体内でいったん消化してから吸収されるわけである。消化されたものが、荒れた肌にちょうどいい分量だけ行き渡るかどうかなどわからない。情報の信憑性を見極めるのがリテラシー(読み解く力)である。今回、本誌の加藤英俊編集長のご好意...
島田邦男
琉球ボーテ(株) 代表取締役
1955年東京生まれ 工学博士
大分大学大学院工学研究科卒業、化粧品会社勤務を経て日油㈱を2014年退職。
日本化粧品技術者会東京支部常議員、日本油化学会関東支部副支部長、日中化粧品国際交流協会専門家委員、東京農業大学客員教授。
日油筑波研究所でグループリーダーとしてリン脂質ポリマーの評価研究を実施。
日本油化学会エディター賞受賞。経済産業省 特許出願技術動向調査委員を歴任。
主な著書に
「Nanotechnology for Producing Novel Cosmetics in Japan」((株)シーエムシー出版)
「Formulas,Ingredients and Production of Cosmetics」(Springer-Veriag GmbH) 他多数
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