紙おむつ市場、少子高齢化の影響を色濃く反映

近年の紙おむつ市場は、少子高齢化により明暗がくっきりと分かれている。出生人口の減少により縮小が続いていたベビー用紙おむつ市場は、2013~2015年頃まで海外転売需要により大幅な伸長が続いていたが、16年以降はその動きが沈静化しはじめ、17年も継続して縮小する見込みだ。
国内のベビー用紙おむつ市場を混乱に陥れた外国人需要は、2016年頃より落ち着きはじめ、テープ・パンツ構成比が本来のドメスティックな消費者需要に戻り、現在テープ対パンツの構成比(SCIデータ)は3対7になっている。
メーカーの調査によれば、2017年のベビー用紙おむつ市場(おしりふき含む)は、前年比10%減の約1060億円、そのうち、パンツタイプは約650億円(8%減)、 テープタイプは約270億(16%減)を見込んでいる。
花王、メリーズの市場シェアが拡大

花王は、インバウンドや海外転売による需要が落ち着き、本来の日本人消費者の需要に戻りつつあるベビー用紙おむつ市場において国内需要を再度獲得することに成功し、「メリーズ」のSCIシェアが伸長している。
同社では、枚単価の高いパンツタイプの使用早期化と高付加価値製品の使用を促す施策が奏功し、テープタイプからパンツタイプへ切り替えるタイミングが早まっており、「パンツSサイズ」の市場が伸びている。
ユニ・チャーム、ハイプレミアムとL・ビッグを強化

ユニ・チャームは、国内の対象人口が縮小を続けている昨今のベビー用紙おむつ市場に対して、「3つの入口強化」「L・ビッグサイズの健全な育成」「ハイプレミアムおむつの構成比拡大」を柱に、市場拡大に向けて施策を展開している。
2017年秋には、表面シートにオーガニックコットンを使用したプレミアム紙おむつ「ナチュラルムーニーマン」を発売し、ハイプレミアム市場を牽引した。
P&G、パンパースをトータルリステージ

P&Gでは、乳幼児用紙おむつ市場について、インバウンドの減少により縮小傾向にあったが、2017年の夏頃から回復傾向に向かっていると捉えている。
2017年6月、「パンパース」日本上陸40周年の集大成として「パンパースのはじめての肌へのいちばん(テープ)」と「パンパースの肌へのいちばんパンツ」を改良発売した。
大王製紙、通気性を大幅に高め「グ~ン」刷新

大王製紙は2017年11月、「GOO.N(グ~ン)」を、通気性を大幅に高め、「まっさらさら通気」シリーズとしてリニューアル発売した。
近年、有職女性の産休から職場復帰までの期間が短くなる中、自分の子供とたくさん触れあい、遊びたい一方で自分の時間も大切にしたいと考える「アクティブママ」が増加するのに伴い、母親たちの外出頻度も高まっており、抱っこひもやベビーカーを使う傾向もみられるという。