ブックタイトル化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号)

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概要

化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号)

6 C&T 2019-10化粧品大手4社の決算資料から今後の成長性・収益性を分析 化粧品大手4社の決算が出揃った。今年1月に施行された中国電子商取引法(EC法)の影響を受けつつも前期までの業績をキープする企業(資生堂、コーセー)、縮小を余儀なくされてしまった企業(ポーラ・オルビスHD)、その影響を受けず成長にドライブをかけた企業(花王)という形で、3つのグループにくっきり分かれた。 各社の決算状況(コーセーは第1四半期、それ以外は第2四半期)をみると、資生堂は売上高が5646億4700万円(6.0%増)、営業利益が689億8000万円(3.0%減)、花王(化粧品事業)は売上高1400億円(9.3%増)、営業利益147億円(101.3%増)、コーセーは売上高817億2100万円(1.6%増)、営業利益133億3400万円(24.2%減)、ポーラ・オルビスHD(化粧品事業)は売上高1077億3300万円(7.9%減)、営業利益162億3600万円(29.5%減)となっている。 資生堂は、10四半期連続で増収となり、注力するプレステージブランドがグローバル成長(14%増)を牽引し、中国ではプレステージの店頭売上が40%増を記録するなど、好業績をキープしている。また、EC法の影響によりバイヤー売上が20%減少したが、一般客で10%伸ばし、インバウンド売上を6%増やすなど、ここでも強さを発揮している。 営業利益が目減りしている要因も、マーケティング・研究開発・人材への投資強化ということであり、今後の成長性維持には不可欠なものなので、マイナス要因とはいえない。 魚谷雅彦社長の決算説明会での「ブランドと地域のポートフォリオを持っている当社は強い」という発言はまさしく資生堂の今を端的に言い表しているといえる。 花王(化粧品事業)は昨年、グループの化粧品事業における新たな成長戦略の柱として「新グローバルポートフォリオ」を策定し、グローバル戦略ブランドとして新ブランドを含む11ブランド「G11」を選定。分散していた投資を集中させることで、成長性を生み出すとともに、収益性を劇的に高めている。 1年で早くも結果が出ていることから、組織再編まで踏み込んで各エリアでの権限委譲を進め、この取り組みをグローバルに広げていくことが今後の課題となりそうだ。 コーセーは、インバウンド売上がバイヤー売上の減少で減っているものの、デコルテのグローバル展開が非常にうまく進んでおり、その落ち込みを吸収している。今後は成長が頭打ちになっているタルトのエリア拡大や中国人需要のさらなる取り込みが課題であり、中国法人の董事長への大胆な権限委譲などをさらに進めていくことが欠かせない。 ポーラ・オルビスHDは、これまでポーラが不調なときはオルビスが、オルビスが不調なときはポーラが互いに補完し合い成長を維持してきたが、ポーラ(10.2%減)、オルビス(1.1%減)がともにマイナスとなる中、育成ブランドがそれをカバーすることができず縮小を余儀なくされた。現状を打破するには、二枚看板(ポーラ・オルビス)の磨き上げが不可欠であり、特に中国人需要の取り込みが欠かせない。ポーラでは2020年までに中国国内の店舗数を17年末比で3倍に増やす計画をスピード感を持って進めるとともに、免税チャネルの展開を強化していくことがますます重要な経営課題になってくるだろう。