思わず足を止めてしまう化粧品店「マルタジョイ DELI店」〈神奈川・小田原市〉

カンタンに言うと

思わず足を止めてしまう化粧品店「マルタジョイ DELI店」〈神奈川・小田原市〉

  「マルタジョイ DELI店」 (25坪) は、 JR小田原駅に隣接する駅ビル 「小田原ラスカ」 の3階に位置する。

 ニューヨークのデリ (日用品から雑貨まで何でも揃うグルメスーパーマーケット) をモチーフにしたという店舗は、 従来の化粧品専門店の範疇には収まらない斬新さと可愛らしさがあり、 店先を通る人々が思わず足を止めてしまう程の異彩を放っている。

 「お店づくりももちろん大切ですが、 最も大切なのは 『人づくり』。 お客様に認められ、 信頼される存在になれて初めてお店の魅力となると考えています」 と語る丸田茂晴社長と北川恵店長にお店のコンセプトや将来の夢についてインタビューした。

「お店づくり」「おもてなし」を磨き上げ
総購買客数、売上げとも順調に拡大

  「マルタジョイ DELI店」 は、 ニューヨークのデリスタイルをモチーフにしたユニークな店内で、 専門店ではなかなか取り扱えない百貨店ブランドから海外コスメを揃え、 小田原市周辺の感度の高い若い女性客をターゲットに、 楽しく買い物をしてもらえる空間づくりに日々努めている。

 レジと接客カウンターが集積する中央のブースには、 ケーキやマフィン、 クッキーなどのオブジェが飾られているほか、 グラスやフライパンなどがつり下げられているため、 そうした装飾品だけを目にすると、 まるでキッチンを想起させる。

  「前の店舗で働いている中で“こんなお店があったらいいね”という話をずっと社長としていたんです。 そんな時にデリの話を耳にし、 ニューヨークまで勉強に行かせてもらうことができました。 すぐに“これだ!”と思いましたね。 ニューヨークのデリカテッセンのように色々な商品が比較できて、 そこにマルタジョイグループが大事にしている〈ホスピタリティ〉の精神を組み合わせれば、 今までにない、 新しい化粧品専門店ができるんじゃいないかと思ったんです」 (北川店長)

 こうした想いが凝縮された 「マルタジョイ DELI店」 は高級感に溢れる中にも、 親しみやすさが絶妙なバランスで調和されており、 その斬新なお店づくりは足を踏み入れた瞬間に、 人々をワクワクさせる不思議な魅力を持っている。

 店内は、 中央部分 (18坪) とバックヤード (7坪) に分かれており、 中央部分には、 アルビオンをはじめとした制度化粧品メーカーのスキンケア、 メークが揃い、 バックヤードには、 フレグランス、 ボディ商材が整然と並べられている。

 マルタジョイグループの6店は、1つとして同じテイストの店が存在しない。それは、丸田社長の店舗展開における3つの信条①「まず立地に合わせる」、②「地域の人々に合わせる」、③「その上でうちのスタッフを振り分けて合わせる」があり、優先順位も上から順にというように徹底しているためだ。

 不況の中、個性的なお店づくり、品揃え、おもてなしが三位一体となった活動が奏功し、総購買客数、売上げともに拡大基調が続く。そうした好業績の背景には、この10年、専門店の若年層マーケットを支え続けてきた「アルビオン」ブランドの存在があるという。

  「気働きの精神など過去からの活動がブランドとなっているからこそ、アルビオンは支持されているのではないでしょうか。ブランドというのは、実は社員や美容部員を含めた活動こそが一番の要素だと思っています。私は商品名がブランドなのかという疑問の中でこれまで化粧品の販売を続けてきましたが、商品がブランドたり得たのは一昔前の話で、現在はバックボーンに奥深さがなければ、ブランドとは言えなくなってきているように思います」(丸田社長)

お客様本位をさらに徹底するため
売上げの一部を環境保護活動に寄付

 マルタジョイグループでは、「お客様の立場に立って考える」ということを徹底するため、2005年より売上げの1%を環境保護活動に寄付する取り組みを推進している。

  「お客様の側に立つという部分を具体的にどう表現すべきかを考えた末に行きついたことです。売上げや活動の目標のためにやっていくだけでは、お客様との間に距離ができてしまうという危惧が常々ありました。高級品であればあるほど、本来の質の高い接客やアドバイス、カウンセリングをしっかり行っていかなければなりません。スタッフ全員の意識をもう一段高いところからスタートさせ、お客様の立場に立つということはどういうことかを根本的に考え、具体的に実行していくのがマルタジョイのスタイルであり、そこが一番のポイントです」(丸田社長)

 また、 近い将来の課題として、 「団塊ジュニア世代」 をいかに取り込めるかが勝負の鍵になると見ている。

  「20代後半~30代の若年層が制度化粧品を今まで通り購入してもらえるのかという強い危機感があります。 これから10年、 20年先を考えた場合、 団塊ジュニア世代のマーケットへの取り組みをアルビオンとともに考えていきたいと考えています。 たとえば、 以前に比べ、 30代の主婦層の化粧品購入金額は上がっていると聞きます。 子育てに入って化粧品にかける金額を落としてしまう人がいる一方で、 それまで使っていた化粧品を引き続き使いたいという人も増えてきている証明であり、 30~40代層のマーケットを、 今後の需要を支える層としてアプローチを強化していく必要があります」 (丸田社長)

売りたい商品ではなく、最適な商品、
お客様と向き合い、よく知ること

 北川店長は、 常に顧客の立場でお店づくりを考えており、 「メーカーやお店の都合に左右されず、 お客様のご要望に応えること」 をオープン以来、 徹底してきた。 そのためにメーカー間の壁を超え、 お客様に最も相応しい商品を紹介することがマルタジョイDELI店のスタイルだ。

 例えば、 サンプル一つを取っても、 通常は新商品や季節の推奨商品など 「売りたい商品」 に偏りがちだが、 北川店長の考え方は違う。

  「お客様はスペシャルになりたくてご来店いただいた訳ですから、 いらした方全員に同じサンプルをお渡ししても意味がありません。 気持ちのこもっていないサンプルは、 たとえお渡ししたとしても捨てられてしまいます。 お客様は単に商品を買いにきているだけではなく、 自分に合った化粧品のアドバイスを聞きに来ているという前提に立つことが大事だと思います」

 お客様に最適な商品を紹介するには、 お客様としっかり向き合い、 お客様のことを知らなければ、 それは適わない。

 電子カルテを導入し、 活用しているが、 それ以上に大切なのは、 スタッフ一人ひとりが“人間台帳”とも言える存在になること。

  「昨日よりは今日、 今日よりは明日と、 少しずつ進歩していきたいと努力しているつもりですが、 “これでいい”というゴールはありません。 あえて言えば、 お店の評価はお客様がしてくれるものだと思っています。 そういう意味では、 毎日試行錯誤の繰り返しですね」 と気を引き締める。

 そんな北川店長の想いを理解し、 お客様一人ひとりの満足を自分の喜びとすることができるスタッフが揃っているからこそ、 オープン4年半が経過してなお、 進化し続けているのだろう。 お店の輝きと同様に、 そこで働くスタッフのイキイキとした表情を見て、 好調な理由が理解できた気がする。

 中長期的な目標や夢について、 丸田社長は、 「その時代その時代に合わせて的確にやっていくことだけだと思っています。 私たちはあくまで専門店なので、 人が人に反応するお店を着実につくり、 その想いに賛同してくれる人を一人でも多く増やしていくことを追求するしかありません。 また昨年秋からは、 社員一人ひとりの経営感覚や人間力を鍛えるため、 海外視察に派遣しています。 仕事を与えられてこなしている限り、 人間力は出てこない。 経営感覚を身につけてこそ初めてお客様に近づくことができると思います。 一人ひとりが経営感覚を身に付け、 能動的に動いてくれれば、 こんなに強いお店はないですから、 そういったスタッフで埋め尽くすことが当面の目標です」 と熱く語った。 

 〈店舗概要〉
 所在地=神奈川県小田原市栄町1-1-9小田原ラスカ3階◇電話=0465-21-2803◇取扱メーカー=アルビオン (エクサージュ、 イグニス、 エレガンス、 アナ スイ、 ポール&ジョー)、 資生堂、 コーセー、 マックス ファクターなど

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