【特集・化粧品OEM】老舗・古参から新興メーカーまで最新動向を網羅

週刊粧業 2010年9月6日号 1ページ

【特集・化粧品OEM】老舗・古参から新興メーカーまで最新動向を網羅
受託製造業界に見える活況期の予兆、
各社の側面支援策や新規参入が貢献

 晩夏初秋における本紙の定番企画となっている特集「受託製造企業」を2週・2号にわたって取りまとめた。今回もまた、華やかに飾られた店頭や商談シーンから見えづらい化粧品製造の前線に焦点をあて、末端の売れ行きや愛用者の体感に気を揉む展開各社の最新動向を追いかけた。

 話を聞くチャンスを授かった取材対象社数は計31社となり、2009年に発行した同特集号に掲載の28社を上回った。

 31社というボリュームを本紙が自己評価した場合、日本化粧品受託製造業懇親会(通称=JC・OEM)の加盟社数94企業や、日本コルマーの石上敏之取締役による推測「(全国総数で)200社を超えているのではないか」という総和に照らした場合、一定の事業者数を満たした総力特集だと自負することができる。

 通常の熱気に酷暑が拍車をかける作業現場で、化粧品づくりに魂を込める事業者の奮闘ぶりを紹介する。

業界の一角に寄せる好況のさざ波、
各社とも一様に売上増大傾向示す

 取材協力を得た31社のうち、業績が横ばいまたは減収としたほか数字に言及しなかったケースを除くと、「大半」といえる企業が増収や増益という表現で昨今の商況を説明している。

 好調ぶりが突出している例を紙面から探すと、「6期連続増収で今期も10%増で推移。来期に200億円が射程」と死角が見えない日本コルマーや、2009年1月から16カ月間で「生産量が3倍に急増。業績を拡大させた」と一足飛びに成長したコスメサイエンスのほか、今期に「前年対比約39%増を見込む」として足元の好調さを伝えるMBLなど、元気が戻らない一般景気を尻目に快進撃を見せる企業がある。

 また、グローバル展開も並行している事業者では、成長のドライバーを海の向こうに求め、タイを拠点に「海外は倍増させたい」と目論むエフシー中央薬理研究所や、「今期の海外事業は前年比250%が目標」と明言するトレミーのほか、中国で「女性のメーク習慣が浸透すれば成長が大いに見込める」と期待を述べるトキワなど、一部では国内外の2軸体制が定着している。

 ただ、こうして一連の好調企業が明らかにする業績推移と経産省の出荷統計(2010年1~6月累計)を比較した場合、数量・金額ともようやくの回復基調を取り戻したことを示す統計の数値と、受注高の増大など製造者が明言する商況の間に連動性が薄い実態を見ることができる。果たして、両数値を隔てる原因は何か――。

※画像:息を殺した集中力と小気味よい製造機の音が交錯する作業現場。精魂こもった商品に粗雑な扱いや不当な返品があってはならない(左上から時計回りにサティス製薬、ケイズ、マスター、玉の肌石鹸)

仮説「OEM事業者間で進行する企業間格差」の可能性

 1つの仮説として、受託製造業界に優勝劣敗が進行していると想定した場合、「本特集に登場した好調企業が業績を伸ばしている影で、シェア争奪戦に敗れた格好の同業者がフィールドから撤退し、従来からあった売上げのパイが勝ち残った企業へスライドした」と考えることはできないだろうか。

 実際、「なぜ、つぶれる工場がこれだけ多いか」という撤退組の敗因を捉え、セントラル・コーポレーションの笹山社長は衰退の理由を「いわれたものだけを作っている。売れない会社の下請けをしているだけではOEMも無くなってしまう」と指摘している。

 好対照という視点で成長企業の施策を見ると、「新規参入する異業種の場合、処方から資材調達のほか企画までカバーしていく」と機動力を見せるコスメナチュラルズや、「地域活性化につなげる意図でプロジェクトをスタート」と地場政策を打ち出すサティス製薬のほか、「外部講師を招いた社内セミナー」で人材をブラッシュアップする花島シーマンなど、成長企業は偶然性とは無縁な部分で、何らかの仕掛けをしている流れが明らかに見えている。

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