化粧品日用品メーカーの今後の復興支援のあり方とは

2011年4月4日 12時10分

 3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に際しては、生活者とダイレクトにつながる化粧品日用品メーカーの多くが社会的使命を果たすべく、義援金と支援物資の提供を申し出た。長期的な視点に立てばこうした行動は必ずや評価され、製品への愛着度も高まっていくものと思われる。初動において称賛されるような振る舞いをあらわすことができた化粧品日用品メーカーが今後、どのような形で被災地復興に関与していくべきかを考えてみたい。

主要企業がスピード感を持ってニーズと特徴踏まえた支援実施

 今回の震災にあたっては、化粧品日用品メーカーの主要企業がスピード感を持って、現地のニーズに最大限配慮しつつ、企業の特徴を織り交ぜながら、資金と物資の両面から支援を申し出た。初動において危機対応力の高さと社会的責任を果たす姿をユーザーである生活者に示せたことは、今後の事業展開にも好影響をもたらすだろう。

 こうした甲斐もあり、3月30日現在、日本赤十字社には594億2128万円、中央共同募金会には121億6812万円の義援金が寄せられている。これは阪神・淡路大震災を大きく上回るペースであり、この2団体だけでも最終的には2000~3000億円規模の義援金が寄せられそうだ。海外からの義援金なども合わせれば、それ以上の額になるものと思われる。

 ただし、世界銀行が3月20日にまとめた報告書では、日本の震災復興費用は2350億ドル(約20兆円)に達するともいい、これは日本の国内総生産(GDP)の4%、1995年の阪神・淡路大震災の被害額(1000億ドル)の約2.5倍にあたるため、それらの義援金のみでは到底、被災地が復興を果たすことはできない。

 実際、政府はマニフェストでの優先順位が低い対策の見直しで復興費用の半分は捻出できるとの見通しを示しているが、残りの半分は建設国債と特例公債で調達することになるとしている。

 つまり、税収が今後どれだけ多く確保できるかが、被災地の一日も早い復興には不可欠になってくる。

 まずは、計画停電の影響で従来通りの生産もままならない状況下に置かれている中、電力消費量の比較的少ない休日での稼働や、震災の被害がなかった西日本への生産体制のシフト等のほか、あらゆる創意工夫により、化粧品日用品メーカーには、製品供給力の維持に努めてもらいたい。

自粛ムードが続いたTVCM、最大手2社が先陣切って再開

 震災発生以降続いた自粛ムードは、2週間ほどTVCMを打つ扉を堅く閉ざしてしまったが、こちらについても化粧品日用品業界を牽引するトップメーカーである資生堂と花王が先陣を切ってCMを流し始めたことで、それに続くメーカーがCMを打ちやすい状況を作り上げた。

 批判の矢面に立ってでも、CMを打ち業績を拡大させ、1円でも多くの税金を支払うことで復興を支援していく方向に舵を切ったことは英断であり、トップメーカーとしての面目躍如であった。これにより、経済活動が少しでも好転することを願いたい。

 日本経済の復活には、生活者、特に若者が将来に希望が持てる状況を作り出すことが不可欠と考える。当然、明日への希望が持てない状況になれば、節約ムードに一層の拍車が掛かり、少子化もさらに進展してしまう。

 化粧品日用品の市場規模は、自動車産業の規模と比べれば僅かなものかもしれないが、各メーカーから発売される生活に便利を提供する製品、あるいは使っているだけでワクワクしてくるような製品は、生活者の日々の暮らしを明るくし、前向きに生きる活力を与えてくれる。

 そういった意味で、化粧品日用品メーカーが今後、どう振る舞い、行動するか次第で、日本経済が復活できるか否かを左右するほどの影響力を持っている。そうした重要な役割を担っていることを、是非自覚してもらいたい。

 姉妹誌「C&T」のWindsという社説で筆者は、「停滞する国内化粧品市場を活性化するには」というタイトルで提言を取りまとめたが、震災後のこのタイミングに改めて伝えるべきだと考え、もう一度、その内容を披露したいと思う。

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