2012年ヘアケア市場の分析調査(企業別シェア・企業別売上高推移)

カンタンに言うと

2012年ヘアケア市場の分析調査(企業別シェア・企業別売上高推移)

 このほど、2012年度版「頭髪化粧品の市場分析調査」(調査=総合企画センター大阪)に関するレポートが発表された。

 この調査レポートによると、市場の規模は2009年度比1.6%増の4,366億円。ヘアケア、ヘアメイク、ヘアカラー、育毛商品の全ての分野において前得年度の実績を上回っている。

 ヘアケア分野は2009年度比0.3%増の2,197億円となっている。参入各社が機能性を重視したブランドコンセプトを打ち出し、使用シーン別や髪悩み別に一歩踏み込んだ訴求を個々の商品で提案。これにより、主にトリートメントが中心であったパーソナル使用のアイテムがアウトバスやシャンプーなどに広がりをみせ、市場を活性化している。

 ヘアメイク分野は0.2%の微増で865億円。「ウーノフォグバー」(資生堂)のヒット以降、参入各社の後継商品や新剤型商品の投入が寄与している。

 ヘアカラー分野は0.6%増の794億円。白髪用のセルフユーザーの増加や使用率アップが寄与し、堅調な推移を辿っている。また、泡タイプ商品のヒットも寄与している。

 特筆すべきは育毛商品分野。予防ケアの高まりや、若年層および女性ユーザーの取り込みに成功し、12.9%増の482億円という結果になった。唯一構成比を11.0%(前年度9.9%)と増やしており、好調に伸長している様子が伺える。

<市場分析>

 2010年度の企業別シェアは花王(構成比15.1%)、資生堂(同13.5%)、P&G(同10.4%)、ユニリーバ・ジャパン(同10.3%)、ホーユー(同6.4%)、マンダム(同4.3%)、クラシエホームプロダクツ(同4.1%)、カネボウ化粧品(同3.5%)、大正製薬(同3.4%)と続き、上位5社の順位に変動はない。

 P&Gは、参入ブランドのパッケージやTVCMなどのクオリティアップを図ったことが奏功し、堅調に推移。主力ブランド「パンテーン」をはじめとする各ブランドで新商品の投入やリニューアルを進めたことも寄与している。

 ユニリーバ・ジャパンは、主軸ブランド「ラックス」のテコ入れが寄与し、2009年度比1.3%増の好調な推移を辿っている。2011年度については、「ダヴ」や「モッズヘア」のリニューアルを機に新たなコミュニケーション活動を展開し、拡販を図っている。その結果、シェアは0.3ポイント程度拡大する見込みとなっている。

 ホーユーは、主力ブランド「ビゲン」のリピート率アップが功を奏し、シェアを保持している。2011年度は、クリームを中心に展開していた同ブランドに新たに泡の商品を投入するなど、ユーザー拡大に向けた施策を講じていることから、伸長する見通し。

 また、9位の大正製薬は「リアップ」の店頭販売を強化するなどしてシェアを伸ばしている。

 11位のシュワルツコフ ヘンケルは新ブランド「サイオス」の市場への投入や黒髪用ブランド「フレッシュライト」で泡剤型のヘアカラーを投入するなど、最新の消費者ニーズに対応した強化を図ったことなどが好材料となり、売上高を伸ばしている。

 芸人をモニターに起用した企画などで、主力ブランドである「スカルプD」の認知度を高めたアンファーは2008年の売上高が19億円で16位であったが、2010年には売上が4倍以上となる82.5億円と急成長し、13位に位置している。

<今後の市場性>

 2011年度も引き続き堅調に推移し、2010年度比1.0%増の4,408億円となる見通し。

 近年、購買の基準がブランドイメージや安価な商品から、機能性の重視へと変化している消費者が増えており、今後もこのような傾向が一層高まっていくことが予想される。これを受け、参入各社ではTVCMでブランドイメージを醸成させ、店頭やウェブサイトでは配合成分や効用データなどを用いた商品機能を公開するなど、消費者の意識変化を捉えたプロモーション活動を講じていく意向である。

 また、これまで家族と共用していたヘアケアを自分専用にスイッチするなど、「パーソナルユース化」の進行が見込まれる。これにより、各ブランドでは消費者ひとりひとりのニーズに合わせた商品の細分化が加速する見通しとなっている。

 

●化粧品マーケティング情報 http://www.syogyo.jp/info/

img1323_2.JPG●執筆者:株式会社週刊粧業 顧問 三原誠史
株式会社ソフィアリンクス代表取締役
大阪芸術大学講師

1963年生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒
大手家電メーカーの戦略デザイン室にてシングル家電シリーズのデザインプロデュースを行う。その後、大手出版社を経て独自のブランディングプロデュース事業を開始。
化粧品メーカーの新商品開発、ブランド開発、プロモーション、戦略構築など多数手がける。最近では化粧品メーカーの中国市場の進出支援事業も積極的に行っている。

〈Webサイト〉http://www.sophialinks.com/
〈お問い合わせ〉mihara@sophialinks.com

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