「資生堂グループ クォータリー ニュース」は資生堂グループの様々な事業トピックスを4半期ごとにまとめて伝えるニュースレター。2012年5月号では、2011年度第4四半期の資生堂グループのフラッシュニュースおよび2011年度年間決算のハイライトについてまとめている。
1.資生堂 フラッシュニュース
①創業140周年
資生堂は2012年4月8日の創立記念日に創業140周年を迎えた。1872年に日本初の洋風調剤薬局として東京・銀座に創業した資生堂は世界89の国と地域で化粧品を販売する企業へと成長し、現在は「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレイヤー」を目指し、世界中の顧客へ質の高い商品とサービスを届けるべく事業を展開している。
140年を迎える2012年の活動の一環として世界中のグループ社員、約4万5800人が各事業・部門ごとに「美しさを作り出す」をテーマに「女性・化粧」「文化」「環境」の分野で社会貢献を行う。この活動は未来に咲かせる椿の大輪という意味をこめて「未来椿プロジェクト」と称し、社会や顧客への感謝を表すと同時に、社員の活動を通じてこれからの社会や顧客とのつながりをさらに深めていく。
また140周年を機会としたもう一つの活動として、BC(ビューティーコンサルタント)が、日頃培った美容技術・応対力を競い合う第3回「BCコンテスト世界大会」を7月25日(水)に東京にて開催する。世界中で働くBC、約2万300名の中から、1年以上をかけて選抜された32名が、「おもてなしの心」と高い技術を競い合う。
さらにヨーロッパでは、140周年を記念して、歴代の商品、宣伝ポスターやデザインなどを通じて、資生堂の企業文化を紹介する展示をギリシャ*1(4/2~4/14)、スイス*2(5/7~7/6)で行っている。資生堂は、企業文化を一つの資産として捉え、創業以来、顧客の美しさと健やかさを目指して、新しい価値の創造に取り組んできた企業姿勢を、より多くの人々に理解、共感してもらえるような活動を世界で展開していく。
*1ギリシャ 「Shiseido 1872-2012 A Journey of True Beauty」展……前半ゴールデンホールショッピングセンター 後半ホンドスセンタースパタ店にて開催
*2スイス 「Exposition Art & Beauty Shiseido 140th anniversary」……USB銀行本店 ラウンジにて開催
②「世界で最も倫理的な企業2012」に選出される
資生堂は、米国の企業倫理やCSRなどを専門とするシンクタンク「エシスフィア・インスティチュート」が2012年3月15日発表した「世界でもっとも倫理的な企業2012」のうちの1社に選出された。
資生堂は創業から「美と健康を通じてお客様のお役に立つ」という精神を企業活動の根底に置いてきた。昨年4月には資生堂グループの結束力を高めることを狙いとする企業理念体系「Our Mission, Values and Way」を策定。この中で、企業倫理については、「お客さま」「取引先」「株主」「社員」「社会・地球」といった5つのステークホルダーからの信頼をいただくために社員一人ひとりが取るべき行動基準「Our Way」に基づき推進している。
③経済産業省・特許庁より「知財功労賞」を受賞
資生堂は日本の経済産業省・特許庁が主催する2012年度「知財功労賞」において経済産業大臣賞を受賞し、4月18日に授賞式が行われた。これは資生堂が長年にわたって培ってきたブランド価値を積極的に守り、さらにその価値を高める姿勢が評価されたもの。
信頼感、安心感のあるブランドを守ることは、メーカーだけでなく顧客にとっても大切なことであり、ブランドを大切な経営資源の一つであると捉え、今後も全世界で積極的にその価値を高めていく活動を継続していく。
④米国の美術学校Pratt Instituteにより表彰される
グローバルブランドSHISEIDOのパッケージデザインが、米国を代表する美術学校の一つプラット・インスティチュートが毎年、ビューティー業界から優れたデザインを選出して表彰するパッケージアート賞を受賞し、4月17日に表彰式が行わた。
⑤アルゼンチン共和国にて販売をスタート
資生堂は5月よりアルゼンチン共和国で化粧品の販売をスタートする。アルゼンチン共和国は、南米でブラジルに次ぐ、第2位の市場規模を持ち、経済も2003年以降8年連続でプラス成長を継続するなど、消費市場の拡大が続いている。資生堂はアルゼンチンで高級化粧品販売の実績のある「グレタ・グループ」と代理店契約を結び、グローバルブランド「SHISEIDO」のメークアップ、スキンケアなどを販売する。これにより資生堂化粧品の販売は、世界89の国と地域、中南米市場では、ブラジル連邦共和国、メキシコ合衆国、コロンビア共和国、パナマ共和国と合せて5カ国となる。
⑥ウェブを活用した新ビジネスモデルを開始
資生堂は日本国内市場を対象に、4月からウェブを活用した新ビジネスモデルをスタートしている。これは2つのサイトと既存の化粧品小売店網で構成されている。
サイトの一つである、美と健康に関する企業と専門家によるコラボレーションサイト「Beauty & Co.(ビューティー・アンド・コー)」(www.beauty-co.jp)では、業界の垣根を越えた様々な企業が集まり、魅力的で幅広い商品、サービス、情報を紹介することで顧客との接点を拡大し、それぞれの企業サイトへと誘導する。
もう一つの資生堂の企業サイトである「watashi+(ワタシプラス)」(www.shiseido.co.jp)は、顧客のさまざまな美容についての要望や期待に応えるとともに、新たな需要の開拓を図る。さらに化粧品店紹介サービス機能を通じて、既存の化粧小売店の活性化を促進する。
当期の連結売上高は、前期比1.7%増の6,824億円となった。
国内売上高はリーマンショック以降の高価格帯と低価格帯への二極化という市場構造の変化に震災の影響等も加わり、市場全体が縮小し続ける中、前期比0.8%減の3,800億円となった。
海外売上は、円高の影響を受けたものの、欧米市場で成長性を確保するとともに、中国を含むアジア市場でも高成長を続けたことから現地通貨ベースで前期比11.9%増の3,024億円となった。
営業利益については、原価率の改善や費用の効率的運用に努めたものの、国内外で成長に向けた積極的なマーケティング投資を実施したことにより、前期比12.0%減の391億円となった。
当期純利益は、営業利益が減益となったものの、前期の純利益が特別損失の計上により大幅に減少していたため、前期比13.5%増の145億円となった。
アメリカは現地通貨ベースで13.2%の増収となった。特に、グローバルブランド「SHISEIDO」やデザイナーズ・メーキャップ・ブランド「NARS」が好調に推移した。
欧州では、現地通貨ベースで10.7%の増収となった。消費市場が拡大するロシアでの売上伸長に加え、仏のデザイナーズ・フレグランス会社のボーテ・プレステージ・インターナショナル社によるフレグランス事業の売上拡大が貢献した。
アジア・オセアニアでは、現地通貨ベースで11.7%の増収となった。中国が引き続き高い成長性を維持したほか、特に、マステージ領域が好調な台湾が売上を伸ばした。
2012年の年間見通しについては、売上高は前年に対し5.5%増の7,200億円と見込んでいる。国内は3.4%、海外は8.1%の増収を計画している。なお、海外現地通貨ベースでは二桁の増収を目指す。
一方、営業利益は、売上増による差益増はあるが、成長に向けて国内外ともにマーケティングコストの投入強化を継続することもあり、11.2%増益の435億円と見込んでいる。営業利益率は、2011年度に対して0.3%アップの6.0%となる計画。
当期純利益は、減税に対する繰り延べ税金資産の取り崩しという2011年度の特殊要因がなくなることから、51.6%増益の220億円となる見通し。なお、配当は安定性を重視して、1株あたり年間50円を継続する予定だ。
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