日本化粧品受託製造業懇談会(通称=JC・OEM)は11月6日に都内で第12回定時総会と第18回のセミナーを開催し、67社から参集した171名が同胞の結束を深めるなど、業界の総和でOEM事業全体を盛り上げる意識を共有し合った。
定時総会では現在の会員数95社(東日本地区73社、西日本地区22社)が発表されたほか、事業報告では直近1年間の活動状況を確認したのに続き、決議事項では任期満了にともなう幹事会社9社の選任を行った。
また、参加者が事業の見識を深めるために開催している恒例のセミナーでは、東京農大客員教授の島田邦男工学博士が「化粧品の委受託製造におけるトラブル回避の留意点」と題して95分間の熱弁をふるったのに続き、資生堂技術部のOBで日本化粧品工業連合会の微生物専門委員会委員長だった浅賀良雄氏が「防腐剤フリー・パラベンフリーを実現させる各化粧品処方設計の具体例とノウハウ」という題目のもと、豊富な実務経験をベースにした独自の提言を会場に投げ掛けた。
浅賀講師のセミナー内容を抜粋して紹介すると、同講師は冒頭で「38年間、微生物(に係わる仕事)をやっている。ラッキーな人間だ」と述べ、根っからの嗜好と職業柄が一致した自分をアピールした。
浅賀氏はまず、近年は自然派志向が台頭する中で旗色が芳しくない防腐剤について「ジオール パラベンは最強、抜群だ」と擁護し、その根拠となる実例やデータのほか自身の経験を示し、これの裏づけとなる試験に携わった記憶をひも解いて「(研究が)楽しくて仕方なかった。誰もやっていないこと(に挑んだという点)で何年経っても忘れない」と語った。
また、浅賀講師は化粧品各社が総体的に防腐剤を過剰に配合している傾向があると指摘し、改善に向けた行動として「大手メーカーの製品を購入して(自社製品)と比較してみたらいい」と述べ、完成モデルに照らすと多くの製品は「(防腐剤を)どれだけ入れ過ぎかわかるはず」と定義した。
さらに、まとめの部分で浅賀氏は主眼として「大腸菌と酵母を目の仇にしてください。これ以外にない」としたうえで、指定回収になる製品を「この業界から決して出してはいけない」と強い口調で語った。
セミナーの閉幕を受け主催団体を代表して挨拶に立った日本コルマーの神崎友次社長は、島田講師が語ったセミナーの内容に関連づけて韓国のコスメ事情について最新情報を提供した。参入から20年を超える当地の事業者として韓国事情に明るい神崎社長は、隣国の資金環境に触れ「外貨獲得のため国が化粧品メーカーに援助をしている。スポーツやKポップも支援策で成功した」と語ったのち、あまりに隔たりがある日本の実態を嘆いた。
懇親会へ移行するフッと和む雰囲気が通例だが、開会の挨拶で日本色材工業研究所の奥村浩士社長は緊張感のこもったメッセージを発した。社会性をはらんだ製品問題に発展した通販メーカー悠香の一件に触れ、「処方を組む者は十分に注意しなければ大変なことになる」と喚起し、そのきっかけとして「今日のセミナーは非常に参考になった」と目前に居並んだ両講師を称えた。
さらに、コスメサイエンスの石渡悦堯社長は、神崎コルマー社長が「OEMが大手メーカー並みに台頭」と挙げた韓国事情を引用し、参加者へ「日本もいずれそうなる」と力強いエールを送るとともに、成長と同時に「一番大事なことは品質保持。今日のセミナーは非常にタイムリーだった」と述べて乾杯を発声した。