Koseチャイナ、専売店チャネルでピラミッドのようなブランド構造を形成

カンタンに言うと

Koseチャイナ、専売店チャネルでピラミッドのようなブランド構造を形成

 2007年6月24日は、少し昔にさかのぼるがKoseチャイナにとっては重要な意味がある。この日、中国市場に進出して19年目になるKoseチャイナは、湖北省孝感市にある「瑩瑩化粧城」(化粧品専売店)に出店した。

 これがはじめてデパートチャネル以外の販売チャネル入りで、正式に中国専売店チャネルを稼動させた。現在まで、Koseの契約店数は600店舗余りに達している。

 “Koseは石橋をたたいて渡っているようで発展スピードが遅い”という世論があるが、それに対してKoseチャイナはこうコメントをつけた。

 「専売店開拓において発展スピードを求めるより、店舗自体の質を重んじており、厳しい契約店の選定基準を設けるに留まらず、契約店の利益を確保するため様々な販促施策も講じている」。また、「契約店を大事にしている」という姿を見せるため、「売上を指定した規模になると、主力ブランド『雪肌精』を導入する」と契約店に示した。

 高丝化妆品销售(中国)有限公司(Koseチャイナ)副総経理・曾勇は本紙の取材に「中国の化粧品専売店チャネルにおいて、Koseは継続して多ブランド戦略を打ち、徐々にブランドピラミッド構造を完備させていく」と話した。

【一足遅れた高級ライン】

 Koseグループ傘下ブランド-Prediaのラインアップに “Predia Spa des grands”(中国名:深海珍泉)シリーズ商品を追加発売する。8月12日にその新発売準備のため、湖北省の「恩施」という観光町にて専売店店主向け、サロン活動も行われた。

 周知の通り、Prediaは日本においても16年の歴史もあり、Koseグループが薬粧チャネルを狙い、独自の皮膚科学に基づいて作り上げたブランドであり、多くの消費者の好評を博している。2008年、KoseグループはPrediaを中国市場に導入し専売店チャネルで展開した。

 調査によると“Predia Spa des grands”のナイトクリームには1680元との高い値段で設定をしており、マスクにおいては1180元もする。

 「“Predia Spa des grands”」シリーズを導入する前、すでに“Deep Spa”、“Sea’s Dew”、“Sea&Spa formula”との3つのシリーズを相次いで導入した。

 “Predia Spa des grands”が発売後、Prediaの商品群は値段が150元~1000元以上で、専売店チャネルがターゲットしている富裕層、ミドル層と低所得層を全面的にカバ―できるようになる。それでPrediaはコーセーグループ傘下のブランドの中、最も商品構成が整っているブランドになる」とKose専売店チャネルブランドプランマネージャー恵莺は紹介した。

 ハイプレステージと位置付けられているPrediaを専売店へ導入する際、専門店の選定基準も厳しくも設けられ、「Aクラス以上の契約店しかへ導入しません」と恵莺が語った。コーセーグループの長期ブランド計画ではPrediaが中国専売店専用ブランドとして他の販路に触れずにブランド育成の強化をはかる。

 高級ライン化粧品市場について恵莺は、「中国経済が堅実に発展していくにつれ、地方の二級、三級都市でも富裕層の消費者が次第に増えてきている。この状況の中、市場ニーズを対応するため、現在地方での“コーセー化粧品”との影響力を借りて、いち早くPrediaの高級ラインを導入する必要がある」との見解を示した。

 PrediaのPR&コミュニケーションにかけてコーセーはすでに厳密な計画を策定している。
①山西省太原市、雲南省昆明市などの都市で次々に店主向けサロン活動を行う。
②消費者との接点を作るため、ファッション雑誌へ平面広告を投下。
③三級、四級都市では屋外広告を取り入れる。
④Web上では参加型のBBSを強化するほか、Predia公式Weiboに“Predia Weibo肌のお手入れ専門家”というコンテンツ(暫定)を新設。

 店頭の販促活動においてコーセーは“既存店育成”を取り上げている。プロモーション企画マネージャー 周文莉は、「既存店育成とは来店したお客様へおもてなしのサービスからスタートし、会員育成、会員クラブ、会員サロン、店主向けサロンなどの活動を通じて、最終的に売上に結び付けるような仕掛けである、と説明した。

 また、恵莺は 近年の化粧品専売店の変化に対応するには、コーセーが商品の使用感、包装・商品パッケージについて多くの専売店からの意見を考慮し、コーセーなりに調整していきたい考えを示した。

【ピラミッドのようなブランド構造を形成】

 2012年3月、当初は中国における専用ブランドとして百貨店ルートで販売された“AVENIR(アヴニール)“を専売店チャネルに導入することを発表した。

 導入してから今まで半年(2012年9月まで)が立ちAVENIRの契約店数が95に達した。以前百貨店ルートでの好評を得て現在、専売店でも売れ行きも好調である。それに対して「今年はあくまでもAVENIRを専売店に導入するのはまだ手探りの段階で、今年しっかり基礎を作り、専売店の発展トレンドに応じてまた来年ブランド戦略を見直す予定」と恵莺は語った。

 AVENIRを専売店に導入、“Predia Spa des grands”シリーズを発売するにつれ、専売店チャネルにおいてコーセー独自のピラミッドのようなブランド構造が形成してきた。

 ピラミッドの一番下には大衆消費者をターゲットに、値段を100元~200元に設定している“潤肌精”と“Narure&Co”のブランドがある。この2つのブランドは専売店チャネルのほか、百貨店とスーパーマーケットでも販売している。その上には“白澄”、“清肌晶”、“純肌粋”がある。また、ピラミッドの一番上には“雪肌精”、“Predia”との高級ラインがある。とりわけ、Prediaが最も高級である。

 また恵莺の話によると、コーセーは専売店でのカウンター扱いも調整した。以前コーセーグループ傘下のすべてのブランドをブランド別に一つのカウンターに並べられたが、現在AVENIRは単体のカウンターとして専売店店内或いは百貨店の店内に置かれるようになった。それはAVENIRのブランド認知度をアップさせるためである。今後徐々にコーセー傘下のブランドをコーセーから分離して単体カウンターイメージを作っていく方針だという。

 なぜなら多くの消費者の中に“コーセー=雪肌精”という認識が根付いているからである。しかし、実際には上述のコーセー傘下のブランドのほかには“RECIPEO(中国名 兰皙欧)” 、“REFINE(中国名莱菲)”、“WHITE ST(中国名 妍皙)”、“ESPRIQUE(中国名绮丝碧)”などのブランドも多くあるが、そういったブランドは“雪肌精”の輝かしさのもとにくすんでしまった。

 コーセーの商品は疑いなく品質が優れている。でも、なぜ消費者がコーセー傘下の各ブランドに対して印象がはっきりしてないか? それは各ブランドのポジショニング、訴求点などに差別化を徹底していなかったからだと思う。

 コーセーは、各ブランドの特徴についてPRが少なく、“雪肌精”を中心にして広告投下を集中している。「各ブランドビルディングには不利であることに気づいており、今後はブランドの訴求点を重んじていく。一例を挙げれば、Predia について“海洋深層水の保湿力”との訴求を強化していく」と恵莺が語った。

 専売店チャネルにおいてピラミッドのようなブランド構造が形成してきている。一方百貨店ルートでもブランド構造を整えるため、9月にコーセーグループから新しいシリーズ商品をBクラスの百貨店へ導入するようである。

記事提供元:中国化粧品専門誌・化粧品観察

ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > Koseチャイナ、専売店チャネルでピラミッドのようなブランド構造を形成

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop