ヒノキ新薬(本社=東京都千代田区)の阿部武彦社長は、1976年に代表取締役社長に就任して以降、オイルショックやバブル崩壊など激動の時代を乗り越え、現在も経営の第一線で手腕を発揮している。
国内の有力化粧品メーカーを見渡しても、35年以上にもわたり経営トップに立って業界に携わることは極めて稀と言えるだろう。化粧品業界の変遷を見つめてきた阿部氏に、自身のこれまでの歩みや海外展開の現況について話をうかがった。(インタビュー記事全文はこちら)
1959年から海外展開をスタート
近年はロシアでの販売が好調
――海外展開の実績についてお聞かせ下さい。
阿部 1959年に当時の販売代理店だった大粧(現パルタック)が沖縄、香港、シンガポール、タイへディストリビュートしたのが当社の海外展開の始まりだ。当時はまだ沖縄が外国なので本当に歴史を感じる。
大手メーカーのように海外展開に際して人材を一から揃え、自分のマーケティングを行えるだけの力を持っていれば別だが、当社はこれまで直接取引をしたことはない。近年は、現地の人がヒノキ肌粧品のよさを認めて、自らインベストしてやってみたいという展開のみだ。
こうした中、最近ではロシアでの取扱いが拡がりをみせている。海外展開がスタートしてからしばらく経った2000年に、ロシアの販売代理店「プラネット・フィットネス社」から当社の商品を扱ってみたいと声がかかった。以来、ロシアに向けては商品供給だけでなく、定期的に現地のサロン経営者や美容スタッフに対して研修を実施し、当社の美容指導社員(BCI)が商品説明などを行っている。
現在、ロシアでは「メゾファーム社」が販売代理店をつとめ、今年4月にロシアで開催された展示会「インターチャーム・プロフェッショナル」では、ヒノキ肌粧品のブースを設置するなど意欲的に取り組んでもらっている。こうした積み重ねがあって、ロシア国内の取扱店舗は年々拡がり、販売実績は伸長傾向にある。
――ロシアの展開で得た手応えとは。
阿部 ロシアでは日本の科学技術に対する信頼が非常に高く、現にヒノキ肌粧品は一般的なサロンよりも美容医療系のサロンで人気がある。今後もその信頼を絶対に裏切ってはならない。
定期的に実施している研修には多くの皮膚科医が参加され、科学的根拠に基づいて論理的に説明し、納得してもらうことで初めてそこで商品のよさが伝わった。言葉の違いはあるが、この研修を通じて改めて世界共通の言語は「科学」なのだと実感することができた。
それと同時に私が訴えたいのは、日本は戦後培ってきた60数年のモノづくりの技術しか拠り所がないということだ。このことを日本人が、あるいは日本の企業が強く認識して、安易によその国に日本の製品づくりを任すべきではない。
世の中の変化に応じなくてはならないという考えのもと、企業ポリシーを都度変える企業もある。しかし、世の中はしょっちゅう変化しているのにそれに一々対応していけば企業は生き残っていけないだろう。老舗と呼ばれる和菓子屋のように企業ポリシーを変えず、時代に流されない企業は生き残っていく。
だから、当社は創業来から続くエビデンスに基づいた肌粧品づくりを今後も変えることはない。また、商品をやたらと増やすのではなく、これが一番よいと思って信じて作ったものを本当の意味で超えなければ新製品は出さない。新製品を毎年毎年出さないのはそのためだ。さらに、同じ物質でも効能効果を高めていく研究も引き続き行う。時代に流され、目先を変えたマーケティングはしたくない。
この記事は週刊粧業 掲載
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