本紙が年間に夏・冬の2回にわたって取り組む総力特集「化粧品原料」は今回、総計25社のメーカー・商社から取材協力を得ることができた。
各社が明らかにした商況を総括すると、オーガニック・ナチュラル志向の傾向は依然として強く、研究開発面では既存原料に新たなエビデンスを付与し、用途展開の幅を広げる取り組みが活発化している。
さらに、来春に迫った第7回化粧品産業技術展(CITE Japan2015、以下CITE)に向け、各社が有望な素材を送りだそうと研究開発でしのぎを削り、市場に活気を吹き込みそうな「芽」も少なくなかった。
本特集では、こうした有力メーカー・商社25社の注力原料をはじめ、今後にかけて引き合いの高まりが期待される最新原料、さらなる成長に向けた事業戦略などをリポートしている。
既存原料に新規有効性を付与し、
新たな需要の掘り起こしに注力
冒頭でも触れたように、近年は既存原料に新規有効性を付与し、実績のある原料で新たな需要を掘り起こしたいとする企業の動きが活発化している。
岩瀬コスファは、昨年から取扱を開始しているルーブリゾール社の増粘剤「カーボポール」シリーズで、液体タイプの洗浄剤用増粘剤に冬季の肌のかゆみの改善に関する機能を発見し、今年は新たにプラスαの有効性を持った機能性原料として提案を強化している。
壽商会では、ストレッチ性のある高分子ポリマーとして昨年より提案を開始しているスイゼンジノリ多糖体「サクラン」から、従来の皮膚形成能力や高い保湿力に加え、新たに「抗炎症作用」を確認し、今後は敏感肌向け製品にも使えるストレッチポリマーとして提案の幅を広げていく方針だ。
また、ビタミンC60バイオリサーチでは、来年で販売10周年を迎える「フラーレン」が、紫外線照射後も増加し続ける細胞内活性酸素を持続的に長時間消去する新たなエビデンスを得たほか、寿ケミカルでは昨年から紹介している抗糖化成分「ヒシエキス」にAGEs(糖化反応最終生成物)生成を抑制し、糖化反応を極めて強く阻害する作用を発見した。
さらに、進栄化学が抗菌作用を持つ保湿剤として提案する銀イオン水「Ag―P水」にPM2・5対策や花粉症予防の新たなメカニズムを発見するなど、来春のCITEに向けて各社が着々と提案準備を進めている。
グローバルで評価を得た
有望素材の動向に注目
今回の化粧品原料特集では、グローバルで注目を集める有望な素材がそろった。セティではサプライヤーのシラブ社が持つエイジング原料「ボルナージ」が今年4月に開催されたin―cosmetics2014で、コスメティックス&トイレタリーR&Dアワード2014を受賞した。
今年11月に開催されたin―cosmetics Asia2014では、ルーブリゾールグループのリポテック社が海洋性微生物由来原料のスリミング素材「アクティジム」で最優秀賞を受賞したほか、一丸ファルコスが新美白素材「シンデレラケア」で最優秀原料賞の銅賞を獲得し、アジアの企業では初の受賞として注目を集めた。
さらに、約4年前から東京工科大学との共同研究に取り組む香栄興業では、天然由来の化粧品素材「フィトチオネイン」の優れたエイジングケア効果について、第28回IFSCCパリ大会でポスター発表を行い、「国際大会に出場したことで、新たな課題が見つかったほか、今までにない取引先とのコミュニケーションも生まれつつある」(八巻専務)と一定の手応えを示している。
【記事掲載企業】
◎ホルス~最新原料「KGF」の製造開始、肌と毛母細胞の増殖を促進
◎ビタミンC60バイオリサーチ~「抗酸化能の持続性」を実証、発売10年に向け販促強化へ
◎BASFジャパン~新スリミング剤の本格的提案開始、持続可能性に配慮した原料提供も
◎香栄興業~注力原料「フィトチオネイン」題材にIFSCCポスター発表部門に初出場
◎クローダジャパン~スプレーに用いるポリマーの反響大きく、ユニークな保湿作用の新原料も好評
◎日光ケミカルズ~得意の乳化技術で独特な感触を付与、植物由来原料も幅広い用途で採用増
◎寿ケミカル~強力な抗糖化成分「ヒシエキス」に角層中のAGEs産生抑制効果を確認
◎一丸ファルコス~新美白素材「シンデレラケア」が海外展示会でアジア企業として初の快挙
◎岩瀬コスファ~昨年度からルーブリゾール社の増粘剤「カーボポール」取扱開始
◎進栄化学~銀イオン水に新メカニズムを発見、PM2.5対策や花粉症予防にも
◎日本精化~使用感高めたシリコーン代替ポリエステル「LUSPLAN SR-DC5」を市場投入
◎セティ~主力サプライヤー「シラブ社」が持つ画期的なエイジングケア2原料に注力
◎高級アルコール工業 川合清隆社長~新工場の計画進む
◎東振化学~多用途に使える原料の提案を強化、事業部間シナジーで新たな提案へ
◎シバハシケミファ~機能性原料の技術セミナーを開催、取引先との関係強化に継続実施へ
◎日本ルーブリゾール~洗浄剤のコストダウンに新原料、スリミングに最適なユニーク製品も
◎JTS~細胞の活性化促す京大発成分が認知向上、鹿角霊芝にメラニン産生抑制作用を確認
◎ティーエストレーディング~天然由来のスクラブ剤に強み、ポリエチレンビーズ代替品に期待
◎不二化成~オリジナル原料の発売が間近に、上海工場では現地調達原料の供給も
◎カネダ~ヘアケア分野の処方開発を強化、ASEAN諸国にも対応広げる
◎壽商会~1000ppmの銀ナノコロイド発売、サクランから抗炎症作用を新たに確認
◎アイ・ティー・オー~新規ビタミンC誘導体に高まる関心、ミネラルクレイパウダーにヘアケア効果
◎山川貿易~「シア脂」と「インカオメガオイル」油剤の最新原料を提案強化
その他掲載企業/ネオネクリエーション、ブルガリアローズジャパン
この記事は週刊粧業 2014年12月1日号 1ページ 掲載
■特集/化粧品原料 ◎ホルス~最新原料「KGF」の製造開始、肌と毛母細胞の増殖を促進 ◎ビタミンC60バイオリサーチ~「抗酸化能の持続性」を実証、発売10年に向け販促強化へ ◎BASFジャパン~新スリミング剤の本格的提案開始、持続可能性に配慮した原料提供も ◎香栄興業~注力原料「フィトチオネイン」題材にIFSCCポスター発表部門に初出場 ◎クローダジャパン~スプレーに用いるポリマーの反響大き...
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