経済産業省が発表した化粧品出荷統計によると2014年1~12月は前年比4・1%増となり、最近10年間では1兆5000億円を突破した2005年(5・9%増)に次ぐ、高い成長率となった。
一方の化粧品OEM市場は、矢野経済研究所の報告によると、2013年度2196億円(事業者売上ベース)に対し、2014年度は2・5%増の2250億円となる見通しだ。
ただ、先の出荷統計に加え、今回実施したアンケート調査および有力各社へのインタビューの中で聞かれた業績見通しを交わすと、それ以上のプラス成長が期待される。
競争力を意識した事業戦略は三社三様
化粧品OEM市場の拡大は、2005年の改正薬事法の施行にともなう化粧品製造のアウトソーシングの要件が大幅に緩和されたことに加え、長期デフレの影響にともない、国内マーケットの低成長が続いていることが根底にある。
近年、自社工場を持つ大手・中堅を中心としたブランドメーカーの多くが、販売競争力の強化に向け、不採算事業を減らし、成長事業に注力するといった「選択と集中」を進めている。一昨年に大手ブランドメーカー2社が工場再編を行ったように、今後も主力以外のブランド・アイテムをOEMへアウトソースする傾向はさらに強まることが予想される。
また、異業種からの参入企業の増加もプラス成長を後押ししている。そのほとんどがファブレス企業のため、基本的には製造は委託となるからだ。さらにもう一歩踏み込めば、そうした新規参入したファブレス企業が提案するニッチ商材の中に、各販売チャネルで一定の存在感を放つ商品が出てきていることも、OEM市場を引き上げる要素となっていると言っていいだろう。
そうしたOEMの市場性から、ディアローラのように、ブランドメーカーがOEM事業に参入するケースも珍しくなくなった。業界の垣根がなくなっていくことで、競争の激しさを増しながら、OEM市場はさらに拡大していくと思われ、有力各社へのインタビューでは、市場環境の変化に対応しながら着実に成長路線を歩んでいこうとする姿勢が伝わってくる。
国内OEM最大手の日本コルマーは、昨年の静岡工場の稼働開始に加え、関東圏内に国内4拠点目となる研究所の新設計画を明らかにした。今後、関東圏での存在感をさらに高めていく。今年1月に大阪市内の旧本社跡地にイノベーションセンターを新設し、研究開発力の強化を図った東洋ビューティも、近年の業績好調の要因に「東京支店の開設」を挙げ、関東圏での顧客開拓を順調に進めている。
新規開拓に向けた取組みでは、静岡県を拠点に化粧品と健康食品のOEMを展開するフェイスラボが、数年の営業成果として、大阪・福岡方面の取引先を増やしたといい、東洋新薬、ミリオナ化粧品は「営業力の強化」を今年の方針に掲げたと本紙で語っている。