2012年にルーブリゾール傘下に入ったリポテック(スペイン)は、中国輸出に対応した海洋性微生物由来の新原料を中心に出展する。
今年4月に開催された「イン・コスメティックス」において発表した「ブライレット」は、色素沈着を引き起こすメラニン発生の過程に総合的にアプローチし、シミを抑える美白原料だ。同製品のアプローチするポイントとしては、メラノサイトの活性抑制をはじめ、メラニン発生の要因となるメラノソームの発現抑制、メラニン合成抑制があり、チロシナーゼ自体をつくらせないように働きかけるという。
メラニンが合成されてしまった後でも、メラノソームが樹状突起に沿って移動し、ケラチノサイトへ運ばれるのを阻害するため、どのようなシミに対しても対応可能としている。これらの各機能については、in vivo、in vitro試験でそれぞれ確認されている。
また、過剰な色素沈着を起こしている皮膚では高い機能が発揮されたことから、肌の色ムラを解消し、肌トーンを均一にすることもわかった。同製品とその機能に関しては出展者技術発表(S2―24)で発表する予定だ。
同じく4月に発表された「アイデリン」は、目元に特化したエイジングケア用原料だ。目の周囲の皮膚は他の部位と比べて薄く、ハリを形成する皮下脂肪組織もほとんど存在していないため、くまやしわ、たるみ、さらにはむくみなど年齢のサインが最も現れやすいという。
これに対し同製品は、目の下のくまの要因となるビリルビンの分解を促進して血管色素沈着を抑えるとともに、たるみやしわの要因となるコラーゲンの糖化を抑え、コラーゲンの産生やコラーゲン同士を結び付けるエラスチンの構成をサポートすることが臨床試験によって実証された。
昨年11月に発売された「マットマリン」は、脂性肌とそれにともなう毛穴開きの解消をサポートする。皮脂は表皮のバリア機能の維持や角層の保湿、紫外線からの保護、抗菌・抗炎症などの役割を持つが、過剰に分泌されると毛穴の詰まりやにきびなどの原因にもなるため、適量な皮脂の生成が重要だ。
「マットマリン」は、皮脂の生成に重要な役割を果たすホルモンであるメラノコルチンに着目し、メラノコルチン受容体(MCR)のうち、メラノコルチン―5受容体(MC5―R)へアプローチすることで皮脂生成に関わる細胞の分化を阻害し、皮脂の過剰分泌を抑えるという。従来のプロセスとは異なる実感度の高さが特長だ。
「海洋性微生物は突然変異種や未確認のものも含め、膨大な数が存在している。リポテック社は様々な海洋性微生物の研究に注力し、数多くの微生物を取りそろえている。生育環境を変えると放出されるタンパクも変わることがあり、それらをすべてコントロールし、抽出・分画することで多種のユニークなペプチドやタンパクをストックすることができるようになった。その成分をスクリーニングし、得たい機能を持つ原料開発ができる技術がある」(松宮民夫シニアアカウントマネージャー)
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この記事は週刊粧業 2015年6月2日号 掲載
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