原材料商社大手の岩瀬コスファは、2月18日開催の臨時取締役会において、岩瀬健治氏が代表取締役会長に、岩瀬由典氏が代表取締役社長となる異動を決議し、4月1日に就任した。由典氏が就任した4月は営業成績も良く、幸先の良い滑り出しとなっている。
6月に行われたCITE Japanでは、16小間のブースでどこからでも入りやすいオープンな展示を行い、面談や対話をしやすい雰囲気を作り出し、評判良く展示会を終えることができた。30年ぶりの世代交代で社長に就いた岩瀬由典氏に話を伺った。
開発提案型商社を目指し
関係会社との連携強化
――なぜこのタイミングでの社長交代になったのですか。
岩瀬 会長とは30歳の年の差があり、会長も同じ年で社長に就任しています。
今年の2月に後厄が明け、世代交代という意味で最適なタイミングだったと考えています。
現在は会長にも代表権を持っていただき、私は東京、会長は大阪を拠点にした経営体制を組んでいます。
――社長就任にあたっての率直なお気持ちは。
岩瀬 80年を越える歴史もあり、海外も含めて従業員が増えるとともに、得意先も広がっているため、正直に言えば、心配もありました。
当社の企業理念は「『美と健康』を通じて、より多くの人々に、より多くの喜びを与える」です。
スケールが大きく、常に進歩し、終わりがないスローガンだと認識しています。
これまで培ってきた歴史を踏まえて新たなことにチャレンジし続け、開発提案型商社としてより一層成長していきたいです。そのため、今まで以上に原料メーカーの協力を頂き、新たな原料の開発を進めていきたいと考えています。
新原料を開発する際は躊躇することなく躍動感を持って取り組むことが重要だと考えます。マイナスな状態・感情で新たなものを生み出そうとしても良いものはできません。「やろう!」という前向きな姿勢で取り組んでいきます。
また、原料メーカーとの新たな取り組みとして今年9月のIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)のチューリッヒ大会で、原料メーカーと一緒に、ポスター発表を2題行います。
社員・会社を成長させる人財育成
海外市場を見据えた戦略加速
――今年の3月にはパリに現地法人を設立するなど、海外市場への動きが活発化しています。
岩瀬 2009年にパリ事務所を開設して、海外市場の情報収集を行っていました。
事務所ではなく、現地法人の設立に移行したのは、元々日本にいたフランス人の社員と日本人の社員の2人から「今後、海外市場を見据えて活動していくための活動拠点として立ち上げたい」という意見が上がったことがきっかけです。
近江商人の「三方よし」「やってみなはれ」の精神で、法人化に踏み切りました。
パリの現地法人では、北欧、ロシアなど広範囲に営業を行い、比較的近いアフリカなど周辺地域の市場もしっかり調査していきたいと考えています。また、パリのほかにも中国の上海、広州に現地法人、ベトナムには合弁会社、韓国には事務所を有しています。
それらの拠点とパリとの間で原料や情報を紹介する相互ネットワークを構築することで、グローバル化がより加速していくと考えています。
しかし、ただ拠点を増やせば良いというわけではありません。現地のスタッフを育成し成長させながら進めていく必要があります。近年は急速なIT化が進んでいますが、担当者が足で稼ぐ地道な営業活動を行い、しっかりとお客様からニーズを引き出して原料を提供していくことが重要だと思います。そのため、「人財育成」には最も力を入れています。
「人財育成」の例としては、立候補制の海外語学研修制度があり、英語圏の国へ半年間語学研修に行くことができます。この第1号で語学研修行った社員が、フランスの法人設立を提案しました。海外で国際感覚を身に付けたことが大きいと思います。
今ではこの研修制度の利用者は10名を超えています。この制度を利用して、感度を高めてもらいたいと考えています。
常に向上心を持って取組み
「学び続ける」集団を目指す
――どのような会社を目指していかれますか。
岩瀬 100名をこえる社員全員と個人面談を行っている最中です。方針を出す前に、一丸となって会社を支えているすべての社員から話を聞くことが必要と考えました。
どんな仕事を本当はやりたいのか、どうしたら良い会社になるのかなど、国内だけではなく、中国・韓国・パリのスタッフとも面談を行う予定です。今年の冬までに全員との面談を終えたいと考えています。
すべての社員の意見を聞いたうえで、今後の会社の方向性を決めたいと考えています。
――最後に、今後の意気込みを教えてください。
岩瀬 当社は今年で創業84年です。私としては、まだ84年という感覚です。今後の90、100周年も目標ではなく通過点だと考えています。夢を追い続けることで、さらにその後の未来も現実的なものになっていきます。
私は「人みな師」という言葉を信条としています。これは、良いところは取り入れ、悪いところは反面教師とするなど、どんな時でも学ぶ気持ちを持ち続けるということです。
「この人の良いところはどこだろう」と常にアンテナを張って向上心を持って学び続ける集団であれば、さらに会社として成長できます。謙虚な気持ちでこのような行動を一丸となって行えば、100周年は通過点となるはずです。今後も探求心を忘れずに努めていきます。
この記事は週刊粧業 2015年7月6日号 30ページ 掲載
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