継続的な市場活性化には、「本質研究の進化
と融合」「将来資産の構築」が不可欠な要素に
花王は11月25日、東日本地区の有力販売店幹部など約400名を招き、「有力販売店懇談会」を開催した。
懇談会に先駆けて行われた記者会見で澤田道隆社長は「今年度の状況」「今後の市場活性化に対する取り組み」について説明した。続く懇談会では、吉田勝彦専務が「事業やブランドの戦略」について、竹内俊昭常務(花王CMK社長)が「販売施策や販売店への提案」についてそれぞれ語った。
2016年度は、「本質研究の進化と融合」「将来資産の構築」を進めることにより、本質研究で深めた研究資産を消費者視点で新しい価値創造に上手くつなげ、さらなる市場活性化を図っていく。
「皮膚科学」「健康科学」を融合し、ソフィーナ事業の大改革へ
2015年度は、高付加価値化への積極投資により、これまで以上に売上げを増やし、利益を増やし、生み出した利益をさらに投資し、成長し続ける「脱デフレ型成長モデル」の構築を進めてきた。
実際、2012年までの年間設備投資額は約400億円台だったが、2014年からは600億円台に、そして今年はさらに上積みし800億円台の規模になる予定だ。研究開発にかける費用を大きく増大させる中、並行して重要になるのはグループの持てる資産の最大活用であり、ここ数年はこの資産の最大活用を掲げながら、「眠れる資産の掘り起こし」「持っている資産の相乗化」をしっかりと図ってきた。
この高付加価値化をベースとした「脱デフレ型成長モデル」へのチャレンジは、市場の活性化に少しなりとも役立っているのではないかと考えている。
中国では、ベビー用紙おむつ「メリーズ」(日本製・中国製)、生理用品「ロリエ」が好調に推移しており、中国での花王グループの存在感が日増しに高まっている。中国、台湾、香港を中華圏として1つの市場として捉えることで、各地域が持つ人材、機能を活かしてシナジーを図りながら各国への対応を行った。
アセアンでは、最も注力するインドネシアで昨年6月に発売した手洗用洗剤「アタックJaz1」、昨年9月に発売したベビー用紙おむつ「メリーズパンツグッドスキン」がすでに5%を超えるシェアを獲得した。また、今年9月に発売した全身洗浄料「ソフソープ」も順調に推移している。一方で、インドネシアではルピア安が深刻化し、ビジネス環境が厳しくなっているが、こういう時こそ積極的に投資を行い、市場の活性化を図っていこうと考えている。中華圏と同様、各国の対応に加え、アセアン諸国全体を1つとして捉えて積極的に活動を進めた。
こうして国内外で積極投資を行ってきた結果、2015年度の公表値、今年が最終年度の中期3カ年計画「K15」は、達成できる見込みだ。
継続的な市場活性化のためには、「本質研究の進化と融合」「将来資産の構築」が重要だ。長い時間をかけてわからないことも、継続的に研究を掘り下げていくと、その過程の中で新しい発見・気づき・切り口が見えてくる。
本質研究で深めた研究資産は上手く融合させることにより、これまでにない世界をつくり出すことができる。これを消費者視点で新しい価値創造に上手くつなげ、さらなる市場活性化を図っていきたい。