通販ビジネスをトータルで支援
――天真堂としてスタートし、医薬部外品の承認を取得するまでの2年間はどのような取り組みをされていましたか。
児玉 医薬部外品OEMビジネスまでのつなぎとして、美白オールインワンジェルの「エニシングホワイト」を自社で開発し、それを通販とドラッグストアのBtoCチャネルで展開していた。「エニシングホワイト」は全国のドラッグストアで常時4000~5000の店舗で販売され、累計販売個数が80万個のヒット商品となった。
そもそも、当社が何故BtoCのビジネスを開始したのかと言うと、医薬部外品OEMにおいてクライアントに通販での販売ノウハウをアドバイスできることが、将来必ずビジネスに役立つと考えたからだ。さらに、当社が通販以外の販路も構築していれば、クライアントの事業をより強力にサポートできるようになると考え、卸業にも取り組んだ。
OEMの委託先を選定する際、いい商品を安く仕入れたいとクライアントが考えるのは至極当然のことだが、当社はファブレスメーカーなので工場から直接仕入れるよりも価格が高いというイメージが先行しがちで、そこでビジネスチャンスが狭まってしまう。
我々がそういった状況で工場を持つ同業他社と勝負するためには、単にいい商品を作ることだけでなく、その商品の売り方まで知っていることが大きな差別化ポイントになると考えた。だからこそ、BtoCの販売ノウハウを蓄積することが重要だった。
例えば1つの商品の売り方でも、「ニキビを防ぐ」という効能効果の訴求だけでは消費者になかなか響きにくいが、その言葉の前に「気になる背中」という具体的なワードを加えることによって、商品イメージを劇的に変化させた売り方ができる。
私が言いたいのは、どのOEM企業でもいい商品を作れるというのは当たり前のことだが、それだけでは競合他社との差別化が図りにくくなっているということで、いい商品づくりはもちろん、BtoCで培った販売ノウハウをもとに「いい商品をどうやって売るのか」というところまでクライアントに提案することができるのが我々の強みだ。
単品リピート通販ビジネスで培った販売ノウハウとして、リピート率を高めるために最も重要なのは購入されたお客様にその商品を信頼してもらうことだ。当社では、クライアントの商品のよさをしっかりとお客様に訴求し、商品を信頼してもらうために商品と一緒に同梱するCRMツールの作成支援も行っている。
このほかにも、通販ビジネスを展開していくうえで必要なサービスを提供しており、Webサイトの作り方次第で商品の売れ行きも大きく変わるので、我々の販売ノウハウを活かしてWebサイトとLP(ランディングページ)の構築をサポートしている。
さらに、通販で必要なショッピングカートやコールセンターもクライアント企業の考えや規模感に応じてベストのものを提案することができ、今後はインフラ内製化を進めていく。自社単独でここまで通販ビジネスをトータルで支援するOEM企業はほとんどないので、これが同業他社との大きな差別化ポイントになっている。