谷口インキ製造、100年にわたる技術を化粧品業界にも提案

週刊粧業 2018年1月22日号 12ページ

谷口インキ製造、100年にわたる技術を化粧品業界にも提案
 谷口インキ製造(本社=茨城)は、大正3(1914)年にインキ製造を開始して以来、100年以上にわたり印刷インキ業界で先端を担ってきた。

 同社では、オフセット印刷用インキのほか、コンピューターカラーマッチングシステムなどを提供している。

 印刷業界は、色相に関して要求が厳しく、微妙な色合いの差が広告製品の売上に直結する。そのため、同社では、「世界一の色づくり」にこだわり、技術革新にも挑戦してきた。

 一般的なカラー印刷は、黄、紅、藍、墨の4色の網点のかけ合わせにより色が構成され印刷されている。その4色で表現できない色は、ベースインキなどを混合し目標のインキを作成する。

 こうした調色作業は、印刷物の品質や仕上がり時間を左右するが、高度な専門知識が必要で、体系だった教育システムもないため、ベテラン技術者から若い技術者に伝達されにくい。そのため、技術継承ができず、技術者不足が問題となっていた。

 こうした状況を受け、同社は1991年に、普通紙印刷のオフセットインキ用コンピューターカラーマッチングシステム「調色名人」を開発した。

 これにより、熟練技術者でなくても調色と自動計量ができるようになり、業界で大きな話題を集めたという。

 その後改良を重ね、2003年には自動計量が難しかったUVインキ用として、世界初の一工程調色システム「調色名人UVジュニア」を開発し、商品化した。

 同システムによって、ユーザーがオリジナルの配色を簡単に行えるようになり、業界のビジネスモデルに一石を投じることとなった。

 今回、インキ業界で100年にわたり培った「個色」対応力を活かし、化粧品の色づくりの革新につながるような技術を提案していきたいとしている。

 また、「世界一の色づくり」を支える技術として、3つの強みを持っており、それらの技術も化粧品業界に応用していきたいという。

 その1つが、多くの特許を有する高粘度バルクに粉体を均一に分散させる技術だ。オフセット印刷用インキの粉体を、ワニス中に均一に分散させる技術をベースに、化粧品でも均一な分散を必要とする製造工程で提案する。

 2つ目が、高分子加工技術だ。フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂といった様々な高分子素材を扱い、粘性、流動性、塑性をコントロールする技術やゲル化技術なども持っていることから、化粧品の製造技術へも活用を目指す。

 3つ目が、「調色名人」に代表されるカラーマッチング技術だ。色彩についてデータ分析を行い、誰でも簡単に目的の色を出せるようにした。

 化粧品においては、口紅やネールなど要求色相が多い製品に対して好適としている。

 同社では、展示会を通じて化粧品業界への提案を開始し、業界とのかかわり方を検証していく方針だ。
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