沛滢生物科技(上海)有限公司・周昭呈董事長インタビュー

粧業日報 2018年7月6日号 1ページ

沛滢生物科技(上海)有限公司・周昭呈董事長インタビュー
 台湾のシートマスクメーカーである森田生醫股份有限公司(以下、森田薬粧)から独立した沛滢生物科技(上海)有限公司(森田薬粧100%出資)は、中国市場で「Dr.JOU」及び「Dr.Morita」ブランドの販路を拡大し、大きく成長している。

 2011年にワトソンズ(屈臣氏)約3000店の販路を開拓して中国本土への進出を果たした同社は、15年に大手EC「T-Mall(天猫国際)」に旗艦店を開設。EC展開によりブランド認知度が若者を中心に高まり、17年売上高は70億円に達した。

 周昭呈董事長に中国市場の成長戦略について話を聞いた。

「選択と集中」の戦略を貫き、
香港を足がかりに拡大路線へ

 ――中国でシートマスクメーカーとして認知度が高まってきていますが、もともとは貿易商社だったと聞いています。

  当社は貿易商社として創業し、日本製コスメなどを輸入し台湾で卸販売を行っていた。台湾は1970年代後半から80年代にかけて経済成長期を迎え、人々の生活が豊かになる中、日本製コスメの需要が徐々に高まっていった。

 90年代に入るとセブン‐イレブンやファミリーマート、ワトソンズなどコンビニやドラッグストアのチェーン展開が一気に進んだ。台湾で化粧品が生活に身近なものとなり、より多くの生活者に広げるチャンスと捉え、自社ブランドを製造するメーカーへと転身した。

 ――メーカーへ転身するにあたって、シートマスクを主要製造品目に選んだ理由をお聞かせください。

  化粧品メーカーとしては後発になるため、どの化粧品カテゴリーで参入するかは、とても重要な選択だった。その際、重視したのは「選択と集中」の考え方である。1つのカテゴリーで№1を目指す方針を立て、シートマスク市場に参入した。

 基礎化粧品のカテゴリーは、既に多くのブランドが存在し競争も激しかったが、シートマスクはまだ強いブランドが見当たらなかった。後発でもマーケティング次第でトップブランドになるチャンスがあると考えた。

 ニッチな市場でトップブランドを生み出し育成する。それを台湾国内だけでなく、国際都市でも実現できれば、グローバル展開が大きく進むと考えた。そこで、まずは台湾製コスメが受け入れられていた香港への進出を目指した。

 ――香港を皮切りに、中国への進出を果たされました。転機になった取り組みはありますか。

  この10年で企業としての成長は大きく2つの転機があった。

 1つは、2009年の香港進出である。香港でササ(莎莎)やマニングス(萬寧)などの販路を開拓し、そこでの実績を足がかりに中国本土へ進出した。

 広大な中国へ進出するにあたっては、どの流通を活用するのが最適かを検討し、2011年にワトソンズ約3000店で販売を開始した。

 ワトソンズへ展開して以降、ブランド認知度が高まり、シートマスクカテゴリーでは売上上位ブランドに成長した。2011年に1.6億円だった売上高は、ブランド認知度の向上とともに伸長し、2014年には14億円となった。今や、ワトソンズやマニングスを通じて東南アジアの店舗にも当社のシートマスクが販売されている。

 もう一つの転機は、2015年のT-Mall(天猫国際)旗艦店の出店である。より多くの中国に住む生活者との接点を広げるため、EC子会社を設立し、新たな販売チャネルとしてT-MallをはじめJD.com(京東商城)にもEC旗艦店を開設した。

 EC展開の初年度となる2015年売上高は約32億円で、前年比2倍以上に伸長した。その後も毎年10億円程度の増収で推移し、2017年は70億円を達成した。

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