資生堂、化粧品に対する気持ちの変化を脳科学研究で解明

粧業日報 2018年8月8日号 3ページ

資生堂、化粧品に対する気持ちの変化を脳科学研究で解明
 資生堂は、脳科学研究により、愛用している化粧品に対する脳活動と、家族や恋人などの大切なパートナーに対する脳活動との間に共通性を見出した。

 使い始めたばかりの化粧品に対する脳活動は恋愛初期の相手に対する脳活動と、何度もリピート購入している化粧品に対する脳活動はより長期的な愛情関係にある相手に対する脳活動と共通性があることを確認した。

 このような「モノ」に対する気持ちの変化をfMRIを用いた脳科学の手法で解明したのは初めてのことで、同研究は第43回日本香粧品学会で発表している。

 新しい化粧品を使い始める時のワクワク感や、使い慣れた化粧品に対する安心感など、化粧品に対する気持ちは使用経験によって変化していくが、愛用する化粧品に対する脳活動の特徴はこれまで知られていなかった。

 そこで同社は、化粧品に対する人の気持ちを深く理解するため、2つのfMRI実験を行い、普段使用している化粧品に触れている時の脳活動を確認した。

 大切なパートナーに対しては、その関係の期間や段階によって、異なる脳活動が関与することが知られている。そこで同社は、パートナーに対する脳科学研究を行っている首都大学東京の研究チームと共同で、対人関係の研究手法を、愛用する化粧品という「モノ」に対する気持ちの理解に応用した研究を行った。

 そして、化粧品の初期・長期の使用に関する2つのfMRI実験から、それぞれ異なる対人関係状態に見られる脳活動と類似する脳活動を確認した。

 6週間使用して気に入っている化粧品に対しては、初期の恋愛関係と共通して、報酬系と呼ばれる、人の快情動に関わる領域や、さまざまな感情機能にも関わる内受容系の領域の脳活動が認められ、親密な対人関係を作り上げていく段階と類似していることがわかった。

 一方、何度もリピート購入して使用している化粧品に対しては、報酬系の脳活動に加えて、人の精神的な安定や絆、母性愛にも関与することが知られるセロトニンやオキシトシンなどのホルモンの分泌に関わる脳幹の内分泌系の領域において、長期的で安定した愛情関係と共通する脳活動が確認された。

 以上のような、大切なパートナーに対する脳活動との類似性から、化粧品に対する愛用意識が安心感や癒しなど、人の心の充足につながる可能性を見出した。

 同社では、これらの知見を化粧品開発や新分野へ応用していく。
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