資生堂、シミ部位における血管構造異常の3D可視化に成功

粧業日報 2018年8月29日号 2ページ

資生堂、シミ部位における血管構造異常の3D可視化に成功
 資生堂は、慢性的に紫外線にあたることによって発生するシミ部分の真皮上層では異常な毛細血管のネットワークが存在するという、2017年9に同社が発表した新知見を裏付けるべく、皮膚組織を透明化する技術を応用し、シミ部位における毛細血管の状態を精細な3D画像にて可視化することに成功した。

 なお、同研究は、内閣府が主導する革新的研究開発推進プログラムの1つ「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」の一環として行われた。今後、画期的なシミ改善技術の提供につながることが期待できるという。

 同社は、長年にわたりシミ部位に特異的に起こっている肌エラーに着目した皮膚解析によるシミ形成のさまざまな原因解明に取り組み、「異常な毛細血管ネットワークがシミ形成に関与する」という事実を昨年発見したが、従来の薄層皮膚切片を用いた観察であったため、シミ部位の血管数や血管密度の増加については発見できたものの血管構造上の特徴までは明らかにできなかった。

 そこで、同社の自社特許技術である皮膚組織の透明化技術を用い、異常な毛細血管ネットワークの特徴を、より精細に明らかにすることに取り組んだ。

 これにより、立体的な皮膚組織をまるごと観察することが可能になり、より広い範囲で立体的な観察を行うことができるようになったほか、シミ部位における毛細血管構造異常の3D可視化に成功した。

 今回の研究により、シミ部位の血管は近傍の正常部位に比べ、不規則な配向を示していること、血管の分岐が非常に多いこと、さらに分岐の多い血管周辺にはマクロファージが多数集まってきていることを見出した。つまり、シミ部位の血管構造の異常と炎症との関連が示唆されたという。

 今回発見したシミ部位の異常な毛細血管ネットワークがシミ形成に大きな影響を及ぼしていると考えられることから、同社では同研究成果をもとにスキンケアの価値創出に向けた研究を進めていく。

 なお、同研究成果は2018年8月開催の第36回日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて発表し、優秀演題に選ばれた。
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