花王、W/O型エマルションにおける保湿持続技術を開発

粧業日報 2018年9月13日号 6ページ

花王、W/O型エマルションにおける保湿持続技術を開発
 花王スキンケア研究所は、7月12日に開催された「第82回SCCJ研究討論会」にて、「敏感肌意識者の割合が年々増加傾向にあること」「油中に水滴が分散しているタイプの乳化物(W/O型エマルション)において、架橋型高分子シリコーン乳化剤を用いることによって、内相となる水滴中にラメラ構造を形成することができ、高い水分保持性を有するエマルションが開発できたこと」を研究知見として発表した。

 「敏感意識者の割合(冬)」(「敏感」「やや敏感」「敏感ではない」のうち、「敏感」「やや敏感」計12才~69才の女性、2000年:n=641、2005年:n=496、2017年:n=502)については、顔が30%(2000年)から33%(2005年)、46%(2017年)へと拡大しており、身体が23%(2000年)から27%(2005年)、34%(2017年)へと拡大しているという。

 W/O型エマルションは、O/W型エマルションに比べ、一般的に保湿効果が高いとされているが、従来のW/O型エマルションでは、内相の水分が蒸散することで、塗布後時間が経つと塗布膜の閉塞性が低下するという課題があった。

 そこで同研究所では、角層の保湿バリア機能の要となる細胞間脂質(セラミドなど)のラメラ構造を模倣した「高含水αゲル」が持つ、水分の蒸散を防ぐ性質に着目。ラメラ構造を形成したセラミド機能成分を含む水相を、さらに油相で乳化したW/O型エマルション(ラメラインオイル)の開発を進めた。さまざまな検討の結果、「架橋型高分子シリコーン」乳化剤を用いることで、高含水αゲルを維持しながらW/O型エマルションを調製できることを見出した。

 実験(温度23℃、湿度40-50%、厚さ約0.3mm・直径50mmの円形容器にて、経時での重量変化を測定)では、水分保持効果を評価すべく、ラメラ構造を有する高含水αゲルを内相にしたW/O型エマルション(ラメラインオイル)と従来のW/O型エマルションを同じ条件で乾燥させ、エマルション中の水分量の比較を行った。

 その結果、従来のW/O型エマルションが2時間で乾燥するのに対して、ラメラインオイルは8時間経っても乾燥しにくく、水分保持性が優れていることがわかった。
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