ライオンは今年2月、2030年に向けた新経営ビジョンとその実現に向けた新中期経営計画「LIVE計画」を発表した。
3年刻みの中期経営計画を従来どおり積み重ねるのではなく、長期ビジョンのもと新たな中期経営計画を策定し直したのは、進むべき方向性を明確にし、変革に向けた動きを加速させない限り、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」という大きな目標を達成することは難しいと判断したからだ。
榊原健郎取締役上席執行役員に、将来あるべき姿である「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニー」の実現に向けた具体的な戦略について話を伺った。
市場構造や社会構造の変化踏まえ
従来とは違う角度で中計を策定
――2030年を見据えた形で中期経営計画「LIVE計画(LION Value Evolution Plan)」(2018年~2020年)を策定した背景について教えてください。
榊原 2012年から2017年まで3年刻みで「V‐1計画」「V‐2計画」を進めてきました。この6年間の総括をすると、売上・利益ともに過去最高を更新し、業績面で成果がありました。
特に、海外事業が展開国(8つの国・地域)においてパーソナルケア(オーラル・ビューティ・薬品)分野の成長が進み、連結ベースで500億円強から1000億円強とほぼ倍増するなど、売上が大きく伸びました。
また、国内事業において収益性の高いヘルスケア分野が伸び、中・高価格帯の販売ウエイトが高まったことで、営業利益率については3%弱だったものが6%を超える水準まで高まりました。
利益改善が進んだもう1つの要因は、コストダウンの累積効果が表れたことによるもので、ライオン単体の原価率についてはこの6年で大幅に下がっています。
営業政策を大きく転換し、いたずらな安売りをやめたことも収益改善に大きく寄与しており、売上に対する販促費率も下がりました。その分、宣伝費を増やしブランドを育成してきました。
この6年で売上・利益の拡大という面で大きな成果が出せましたので、「V‐3計画」という形で2020年までの中期経営計画を策定するという選択肢もありました。
しかし、これだけ情報技術が進展する中、情報鮮度は陳腐化しやすく、コモディティー化が進む懸念が相当高まってきていましたので、2030年をしっかり見据えた中で、改めて中期経営計画を描き直すべきではないかと考えました。