花王は、中期経営計画「K20」(2017年度~2020年度)の数値目標として実質売上高CAGR+5%、営業利益率15%を掲げ、2030年までの到達目標としては、売上高2兆5000億円、営業利益率17%、ROE20%という高い目標を掲げている。
その高い目標を達成するには、「自らが変わり、変化を先導すること」が欠かせない。
代表取締役専務執行役員の吉田勝彦氏に、チャレンジングな目標を達成するためのポイントについて話を伺った。
「ESG」をグローバルで推進すべく
米国法人のデイブ・マンツ氏をトップに
――中期経営計画「K20」策定時に2030年までに達成したい姿を示されましたが、先を見据えた形で中期経営計画を策定した背景について説明してください。
吉田 「K15」までは到達目標をまず定めて、手前の山を登ってから一度周りの山を見渡して次のより大きな山を登っていくという方法を取ってきました。変化のスピードが早く、一度登ってみないとその先が見えなかったからです。
しかし、現在はデジタル化やロボット化、AIやIoTなど、変化の先はかなり見えてきています。
こうした中、その先について企業としてどうありたいかということを踏まえてより高い目標を設定していくことが重要であると考えました。
――2030年までの到達目標は、従来に比べてかなりチャレンジングな設定となっていますが、その狙いについて教えてください。
吉田 先の見方は大きく2つあります。1つ目は、なるべく高い目標を設定し、それに向かって進んでいくということで、我々はそれをバックキャスティングと呼んでいます。
これまでは、今いる場所から高いところを見ていくフォーキャスティングという方法を取ってきましたが、到達地点から振り返り何をしなければいけないかというバックキャスティングで物事を考えていくと、今までと全然レベルが違うことをしなければ目標に到達できないということが明確になります。
2030年までに売上高を2兆5000億円にするには、今まで通りのやり方では実現が不可能で、意図的にイノベーションやM&Aを行う必要があります。
フォーキャスティングで見ると不可能に見えてしまうことも、バックキャスティングで見ていけば、例えば、毎年M&Aを2つ、3つしていけば達成が可能であるというようなことも見えてきます。そこが重要なポイントです。