花王、微細化した炭酸が肌をなめらかにするメカニズムを発見

粧業日報 2018年10月30日号 4ページ

花王、微細化した炭酸が肌をなめらかにするメカニズムを発見
 花王スキンケア研究所は、微細化した炭酸によって肌が持続的に弱酸性に保たれると、角層中の接着因子デスモグレインの分解が促進され、角層のターンオーバーが正常化し、肌がなめらかになる可能性があることを今回新たに発見した。

 なお、同研究成果は「第30回 IFSCC Congress ミュンヘン大会(2018年9月18日~21日、ドイツ)」にてすでに発表している。

 健康な肌の表面は、外部の刺激から肌を守りうるおいを保つために、弱酸性に保たれているが、角層のターンオーバーが乱れるなどの理由により、肌表面のpHが高くなってしまう。

 同社は、従来から、肌の表面を弱酸性に保ちながら行うスキンケア、ヘアケア技術を開発し、商品に応用してきたが、これまでは弱酸性に保つことで肌がなめらかになる効果やそのメカニズムは明らかになっていなかった。

 そこで今回、肌を持続的に弱酸性化した際に起こる肌表面(角層)の変化の観察を行うとともに、「酸」の肌への親和性に着想を得て、一般的な酸の中でも角層と性質の近い炭酸に着目した。

 研究では、「持続的に弱酸性に保つ方法の確立」に向け、すでに実証済みの「炭酸を微細な泡として存在させると、製剤中の炭酸が高濃度で持続する」という研究結果を踏まえ、角層への浸透性を向上させることで一般的な有機酸配合製剤と比較し、pHを持続的に弱酸性の状態に保つことを確認した。

 続いて、「肌がなめらかになるメカニズムの解析」に向け、肌表面のpHを持続的に弱酸性に保つ製剤を用いた研究では、角層中のプロテアーゼ活性が高まり、接着因子デスモグレインの分解が促進されることが明らかになった。この現象から、不要な角層の堆積が解消されるという新たな表皮ケアにつながることが期待できるという。

 以上のことから、炭酸を微細化することによって安定化した製剤により、肌を持続的に弱酸性に保つ可能性が示唆された。

 肌を弱酸性に保つことにより、角層中の接着因子デスモグレインの分解が促進され、角層のターンオーバーが正常化し、肌がなめらかになることが期待できるという。この発見は、乾燥や加齢でターンオーバーが乱れた肌を健常に導くのに有効な手段となり得ることから、今後も肌を持続的に弱酸性に保つことの効果について検討を進めていく。
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