エア・ウォーター・ゾル、化粧品OEMに特化した新工場を稼働

粧業日報 2018年12月13日号 3ページ

エア・ウォーター・ゾル、化粧品OEMに特化した新工場を稼働
 エアゾール業界3位のエア・ウォーター・ゾルは、茨城工場(本社=茨城・小美玉市、尾上英俊社長)の敷地内に化粧品OEMを主体とする茨城第二工場を新設し、12月17日より稼動を開始する。第二工場の完成に合わせ敷地内には倉庫も新設する。

 11月21日に新工場内で開催された竣工記者会見で、尾上社長は、「化粧品受託業界は伸長傾向にあり、既に新工場へのオファーもたくさんいただいている状況である。3つの生産ラインでスタートするが、毎年2~3ラインずつ増やしていくイメージを持っている」と3~4年で9ライン化を構想していることを明かした。

 同社は、茨城、群馬(伊勢崎市)、岐阜(関市)、山陽(兵庫・加東市)の国内4拠点で、それぞれ家庭用品、人体用品、塗料、液充製品の生産に特化したエアゾール工場を持つ。

 エアゾール市場の最近5年間(2013~17年)の年間生産本数は5億1000~3000本前後で横ばい推移ながら、同社は右肩上がりで業績を伸ばしている。2017年売上高は前年比9.7%増の192億円となり、5年前と比べ25.5%伸長している。

 尾上社長は、既存の4工場がそれぞれカテゴリーに特化した生産設備を持ち、「家庭用品(売上構成比26%)、人体用品(26%)、塗料(25%)、自動車・工業用品(18%)の受注バランスが良い」ことを自社の強みに挙げ、「当社が対応を得意とする中・小ロット製品には付加価値の高いものが多く、各工場の特性を活かすことで厳しい市況の中でも業績拡大につながっている」と説明した。

 また、「これまでエアゾール製品の輸出はほとんどなかった」とした上で、UVスプレーを中心とした人体用品で「昨今はアウトバウンド(輸出)需要が拡大し、輸出向けの生産が増えている」とし、好調の一因に挙げた。



 今回の茨城第二工場は、化粧品OEM工場に位置づけ、「生産キャパシティの拡大」「化粧品GMPに準拠した工場」「従業員が快適に過ごせる環境づくり」「地域に開けた工場」の4つの理念を掲げて建設した。

 初年度は生産3ライン・年間1500万本の生産能力でスタートし、将来的には9ライン・5000万本まで増設する予定だ。工場内には、製造現場を見学できる通路を設け、12月10日より工場見学の受け入れを開始している。

 約5000㎡の1階は、調合、充填、包装を一貫して行える設備環境にし、現在は「危険物対応の液体充填ライン」「非危険物対応の液体充填ライン」「エアゾール専用ライン」の3ラインを設置している。

 12月17日からは輸出向けが好調のエアゾールラインから稼働し、年度内に液体充填ラインの稼働を開始する予定だ。

 「3ラインは大・中ロット向けだが、今後は多品種・小ロットに対応するラインを導入していく計画だ。ライン増設に関しては逸る気持ちもあるが、既存4工場とのバランスをみながら、品質、そして人材の部分を重視して慎重に進めていきたい」(尾上社長)

 約3100㎡の2階は、資材置場、事務室、300名収容の休憩室のほか、缶やボトルなどの容器を1階の各生産ラインへ供給する設備を設置した。

 本格参入した化粧品OEM市場は、インバウンド需要の拡大や中国・越境ECを中心とするアウトバウンドの好調により、矢野経済研究所の調べによると17年度は前年比10%増の2900億円で推移した。18年度も引き続き好調に推移しており8%増の3120億円との予測だ。

 尾上社長は、「明確な売上目標は公表していないが、化粧品受託業界は供給不足の状態にある。社内向けには化粧品OEM市場シェアでまずは2%の獲得を目指そうと発信している」と語った。

 工場新設に向けて人材の確保にも精力的に取り組んできた。それまで正社員の採用は近隣高校から1~2名程度だったが、今年度はエリアを拡げて募集をかけ、11名を採用した。パート従業員数も今年に入って40名近く増員したという。
 ライン増設を今後も計画していることから、尾上社長は「来年以降も採用を積極的に進めていく」と語った。
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