ヒノキ新薬、企業の哲学の上に立脚し真摯な取り組みを続ける

週刊粧業 2019年1月1日号 41ページ

ヒノキ新薬、企業の哲学の上に立脚し真摯な取り組みを続ける
 私の大きな人生経験の一つは小学校の時に東京裁判を傍聴したことです。大東亜戦争に突入した日本は、昭和20年8月15日に敗戦。東京裁判に大きな影響を与えた「東京裁判無効論」を唱えたインドのパール判事。その発言から「仕組まれた大東亜戦争」に一層関心を持つようになりました。

 そのパール判事の母国、日本から約6000㎞離れたインド。

 インドは、日本人の精神文明に大きな影響を与えている「仏教」発祥の地です。薬師寺の大谷徹奘氏から誘いを受け、昨年11月下旬に往印を果たしました。

 偶然にも、仏陀が悟りを開いたという聖地ブッダガヤに行った日、私は82歳の誕生日を迎えました。

 そこで「悟りを開いてくる!」などと嘯いておりましたが、悟りを開いてお役御免になりそうもなく、改めて日印の国家間格差を考えざるを得ませんでした。

 カースト制度が建前上改められたとはいえ、インド国民の一人当たりのGNI(国民総所得)は日本の20分の1、アメリカの32分の1、世界水準でも約6分の1で、30数機の原発・原子爆弾、そして射程が800キロに達する大陸間弾道ミサイル、すなわち核武装を保持している国家は、日本人には理解し得ないレベルです。

 今日本では経済政策のみ、政治課題になっています。また、日産問題のように、人間の物欲の限りなさを考えると、お釈迦様がその豊かさや地位を放棄して、仏の道を探求した気持ちが理解できるような気がしてきました。

 コンピューター化、ファンドのような金融利益、ますます日米中が物欲や金銭欲に突き進むとき、天変地変が起きて「地球人よ、やりなおせ!」の一撃が下されなければ……という思いです。

 人工知能は哲学を理解しうるのでしょうか。日本国家はどういう方面に進むべきなのか。

 ささやかな企業とはいえ、企業の哲学の上に立脚して、真摯に取り組んで参りたいと思います。

 ヤスパース哲学の研究者であった白井晟一先生から「安い金儲けは考えるな!」と示唆されたその言葉は、今後も私個人、併せて企業の哲学として、心していきたいと思います。
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