花王、カバーしたいシミ部位にメークがのりにくい要因を解析

粧業日報 2019年1月21日号 4ページ

花王、カバーしたいシミ部位にメークがのりにくい要因を解析
 花王メイクアップ研究所は、シミ部位の特徴やシミ部位におけるベースメークの付着状態について解析を行った結果、シミ部位は色差があるだけでなく、皮溝形状や皮膚柔軟性などの素肌形状が非シミ部位と異なっており、これらがベースメークを塗布した際の仕上がりに影響を与えることがわかった。

 なお、同研究内容は、昨年12月下旬に東京で開催された第83回SCCJ研究討論会にて発表している。

 多くの女性にとって、シミを隠したいというニーズは高いものの、思うようにカバーするのは難しく、「カバーしすぎると厚塗りになってしまう」「カバーしたい部分にメークがのりにくい」という悩みが少なくないことから、今回は、シミ部位に着目し、その素肌性状を改めて調査するとともに、ベースメークの付着性について解析を行った。

 解析にあたっては、境界明瞭なシミがあり、そのシミを隠したいという意識を持つ31~59歳までの女性25名を対象に、シミ部位や非シミ部位の素肌性状を調べた。

 一定量の化粧水・乳液を使用した後、実験者の指に一定量のベースメーク(隠ぺい力の高い部分用コンシーラー;0.5mg/cm2)を取り、対象部位に縦横のストロークで一律に塗布した後、測色や写真撮影、シリコーンレプリカによる化粧膜転写、光学フィルターを用いて撮影したデジタル画像による、ベースメークの皮膚上の分布の測定を行った。

 その結果、シミ部位は非シミ部位と比較し、皮溝が太く深く、本数が少なく、皮膚柔軟性が低いという結果が得られた。

 また、シミ部位は非シミ部位と比較して、ベースメークの付着量が多く、付着量のばらつきも多いことがわかった。シリコーンレプリカに転写された化粧膜の拡大観察画像からは、皮溝にベースメークがたまっている様子や、皮丘との付着量の差が大きく、ムラづきしている様子が観察された。

 さらに、シミ部位と非シミ部位の化粧料塗布前後の明度の変化量をカバー度合いの指標とすると、カバー度合いの低いシミは、皮膚柔軟性が低い傾向が見られた。このことから、柔軟性は、ベースメークの付着性、カバー度合いに影響を与える可能性が示唆された。

 以上のことから、ベースメーク塗布によるシミのカバーには、シミ部位と周辺部の色差だけでなく、シミ部位の皮溝形状や皮膚の柔軟性も影響を及ぼすことがわかった。

 同社では、こうした悩みの要因の詳細な把握に努め、それを軽減する商品の提案に取り組んでいく。
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