花王、敏感肌に最適な化粧品をAIで選択するシステムの構築へ

粧業日報 2019年2月1日号 2ページ

花王、敏感肌に最適な化粧品をAIで選択するシステムの構築へ
 花王スキンケア研究所、安全性科学研究所は、さまざまなタイプの敏感肌の肌特性と化粧品成分の感覚刺激性との関連性について検証を行い、敏感肌のタイプから感覚刺激を生じやすい成分を予測できたことから、この考え方を応用することで、敏感肌に最適な化粧品選択を可能にするシステムを構築できる可能性を見出した。

 なお、同研究成果は、「第30回IFSCC Congress ミュンヘン大会」(2018年9月18日~21日、ドイツ)にて口頭発表している。

 敏感肌意識を持つ女性が世界中で増加傾向にある中、化粧品使用時に生じる「ピリピリ」「チクチク」といった感覚刺激は製品の嗜好性や使用意向に大きく影響し、敏感肌意識を持つ人にとって化粧品を選択する上で大きな障壁となっている。

 そこで同社は、敏感肌意識を持つ人が、感覚刺激を気にせずに商品選択を可能にするシステムの開発を目指した。

 研究では、敏感肌の肌特性と化粧品成分の感覚刺激性との関連性について調べるべく、敏感肌意識を持つ日本人女性120名とドイツ人女性80名を対象に、さまざまな皮膚データを計測し、そのデータをもとにクラスター解析を行った。その結果、敏感意識を持つ人の肌は特徴の異なる8つ(日本人:脂性肌タイプ、非高感受性肌タイプ、黄ぐすみ肌タイプ、ドイツ人:黄味肌タイプ、非高感受性くすみ肌タイプ、赤ぐすみ肌タイプ、日本人・ドイツ人共通:アトピックドライ様肌タイプ、見かけ健常肌タイプ)に分類され、そのうち2つ(アトピックドライ様肌タイプ、見かけ健常肌タイプ)は日本とドイツで共通していることが示された。

 また、pH調整剤、防腐剤、油剤、保湿剤などの化粧品汎用成分を用いてスティンギングテストを行ったところ、肌タイプごとに感覚刺激を生じやすい成分が大きく異なっていることを確認。さらなる解析により、感覚刺激の起こりやすさは、一人ひとりの皮膚特性と各成分の物理化学的特性に関連することを見出した。

 化粧品成分は1万以上存在するため、すべての成分について感覚刺激を生じやすいかどうかを判別することは難しいことから、AI技術に着目し、機械学習法を用いて感覚刺激性を予測するモデルの構築を試みた。その結果、4種類の機械学習法のうち、Random Forestにおいて73%と比較的良好な正答率が得られた。

 つまり、同研究により、敏感肌の人にとってより刺激を感じにくい化粧品選択を可能にするシステム構築の可能性が示された。

 今回構築したモデルは、予測したい成分の物理化学的特性・対象者の皮膚計測データが取得できれば利用が可能で、将来的には、店頭カウンセリングを通じて計測する皮膚データに基づき感覚刺激を生じやすい成分を予測し、対象成分を含まない商品を提示するなどの応用が期待できるという。
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