量子コンピューティングのR&Dへの
取り込みで人の可能性そのものを拡張
コーセーは1月30日、昨年6月14日に開始したアクセラレータープログラム「コーセーとの共創における Innovation Program」の最終答申会(デモデイ)を本社で行った。
その結果、量子コンピュータのアプリケーション、ミドルウェア、ハードウェアのフルスタック開発を強みとする「MDR社」と進めてきた量子コンピューティングをR&Dに取り込み、「人間とコンピューターとの共創」を目指すテーマを採択し、実証実験へ移行することを決定した。
今後は「人間とコンピューターとの共創」により、これまでにないモノづくりにつなげるだけでなく、ヒトの可能性そのものを拡張していくという。
同社では、自社に蓄積されたリソースと、広くオープンに募集した社外の力を組み合わせ、共創による新たな価値創造を実現することを目的とし、昨年6月に業界初のアクセラレータープログラムをスタートした。
同プログラムでは、「デジタル×美」「美×先端技術」を軸に、今後連携を強化していきたい3つの領域(①テクノロジーを活用したユーザーコミュニケーション、②新しい美容サービスの創造、③先端技術・素材によるプロダクト・サービス開発)でアイデアの募集を行ったところ、スタートアップ企業80社以上の応募があり、その中から同社の選抜社員が加わった6つの「共創チーム」が、10月の中間答申会に進み、ここで4つに絞られた各チームが、デモデイに向けてテーマをブラッシュアップしてきた。
デモデイでは、小林一俊社長を初めとする役員から構成されるメンバーに、外部有識者としてWiLのGeneral Partnerの松本真尚氏が加わった審査委員が、市場への差別性・優位性や実現性があり、コーセーとスタートアップ企業の双方にとって協業に意義があるかという点を重視して審査を行った。
その結果、「きれいCAD構想(Computer.Aided Design)」をテーマ名とし、コーセーが70年間に培った研究開発を進化させた「新しいモノづくり」を目指したMDR社の提案が採択された。
採択されたMDR社の提案に対し、小林社長は「4チームの中でも特に夢があるテーマであり、新しい研究所が本年稼動するという中、従来の延長線上にないモノづくりにつながる」と期待感を示した。
全体の発表に対し、外部審査員の松本氏からは「今日のプレゼンテーションでは、スタートアップとコーセーのメンバーが一体となり、本気でイノベーションを起こそうとしている熱意が感じられた」とのコメントが寄せられた。
今後はMDR社と該当部門とで連携し、具現化に向けた実証実験や協業検討へと進めていく。