花王、SCCJジャーナル第20回2019年度優秀論文賞を受賞

粧業日報 2019年5月22日号 6ページ

花王、SCCJジャーナル第20回2019年度優秀論文賞を受賞
  花王ヘアケア研究所が投稿した論文が、SCCJジャーナル第20回2019年度優秀論文賞を受賞し、5月14日、パシフィコ横浜で開催された2019年度SCCJ総会にて表彰を受けた。

 研究では、「しなやかさ」という動きをともなう美しさに着目。髪が流体のように連続的・曲線的に変形できる「やわらかさ」と、乱れても元の形状に戻る「弾力」という相反する物性を同時に満たすためには、毛髪を異なる構造・物性の材料を組み合わせた「複合材料」としてとらえることが重要だという。

 「しなやかな髪質」の毛髪にはどのような特徴があるのかを探るため、化学処理などのダメージのない10人の毛髪を用いて、その内部構造を詳細に解析し、毛髪断面を蛍光染料による染め分け技術を駆使して観察した結果、「しなやかな髪質」の毛髪では、表層付近にはケラチン繊維がらせん状に配列したオルト様コルテックス、内部にはケラチン繊維が毛髪に平行に配列したパラ様コルテックスが多く確認された。

 また、パラ様コルテックスの方がオルト様コルテックスよりも弾性率が高いことが知られているため、しなやかな髪質の本質は「表層はやわらかく内部は弾力がある二層状態の物理的性質を持つこと」であると考え、さらに化学処理などのダメージのある毛髪にまで範囲を広げて検証した結果、しなやかな髪質の毛髪の方が、表層はやわらかく内部は弾力があるというはっきりとした物性差があることを見出した。

 同社は、表層はやわらかく内部は弾力があるという明確な物性差のある毛髪に導くことを目指し、毛髪を二層状態の物性に導くための基剤を探索した。これまでの研究知見から、有機酸を中心に検討した結果、「コハク酸」で毛髪を処理することで毛髪表層を選択的にやわらかくすることができることを見出した。

 「コハク酸」は、毛髪タンパク質との相互作用性から表層にとどまりやすい性質があることから、表層のみに作用して選択的にやわらかくできたと考えられるという。
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