花王、鼻腔の黄色ブドウ球菌を減少させる効果を確認

粧業日報 2019年6月12日号 4ページ

花王、鼻腔の黄色ブドウ球菌を減少させる効果を確認
 花王生物科学研究所と花王パーソナルヘルスケア研究所はこのほど、ヒトや家庭内における菌の存在や特性について研究を重ねる一環として、温熱蒸気とユーカリの香気成分を同時に吸入することで、鼻腔内の黄色ブドウ球菌が減少することを確認した。

 同研究の成果は、第92回日本細菌学会総会(2019年4月23~25日、札幌市)、第120回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会(2019年5月8~11日、大阪市)にて発表している。

 蒸気や香料には、生体防御機構である繊毛運動を活性化する作用や菌を殺菌する作用など、さまざまな生理機能が報告されている。

 今回、同社は、鼻や副鼻腔における主要な感染起因菌の1つである「黄色ブドウ球菌」に注目し、帝京大学ちば総合医療センター耳鼻咽喉科 鈴木雅明教授の指導、協力のもと、温熱蒸気のみ吸引、温熱蒸気とユーカリの香気成分の同時吸入のそれぞれのケースで、鼻腔内の黄色ブドウ球菌に与える影響について調べた。

 試験では、健常男性を対象に、無香のカップ状蒸気発生具(無香品群:23名)、ユーカリオイル含有香料を添加したカップ状蒸気発生具(賦香品群:23名)を使用させる2群に分け、並行群間比較試験を行った。カップ状蒸気発生具は、1日2回、各10分間、口と鼻を覆うようにあて、鼻から蒸気を吸入する方法で、2週間の継続使用をした。鼻腔の粘膜(上咽頭あるいは中鼻道)より粘液を一定量採取し、カップ状蒸気発生具使用の前後での菌量の変化を測定した。

 その結果、2週間の各カップ状蒸気発生具の使用前後における上咽頭、中鼻道それぞれの、全体の菌量の変化に有意な差は認められなかった。

 一方で、上咽頭、中鼻道の黄色ブドウ球菌量は、2週間使用後、無香品群(温熱蒸気のみ)で減少傾向を示し、特に香気成分を添加した賦香品群においては有意な減少が認められた。

 以上の結果から、温熱蒸気とユーカリの香気成分を日常的に吸入することで鼻腔の黄色ブドウ球菌が減少すること、感染起因菌の1つである黄色ブドウ球菌の減少により感染リスクの低減につながることが示唆された。
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