花王、紫外線による目に見えない肌ダメージ計る新評価法を開発

粧業日報 2019年6月18日号 3ページ

花王、紫外線による目に見えない肌ダメージ計る新評価法を開発
 花王生物科学研究所は、バイオフォトン(Biophoton)という微弱な生体発光に着目し、紫外線によって日常気づかないうちに受けている肌ダメージを定量することに成功した。

 これまで紫外線による肌ダメージは、日やけして赤くなった状態を翌日に評価することでしか把握できなかったが、今回、紫外線照射1~3分後に発生するバイオフォトン量を測定することで、目に見えない肌ダメージの程度を評価できる可能性を見出した。

 同社では、この方法を紫外線による肌ダメージを計る優れた指標になると捉えており、今後、紫外線から効果的に肌を守る技術の開発へと応用していく。

 肌は、日常生活の中でさまざまなストレスにさらされ、目に見えないダメージを受け続けており、中でも紫外線は、肌に日やけを生じさせるだけでなく、将来的にシミ・シワ・たるみなどの光老化を引き起こすことでも知られている。

 しかしこれまで、紫外線による肌ダメージは、日やけとして赤くなった状態を翌日に評価することでしか定量できず、知らず知らずのうちに受けている肌ダメージは捉えることができていなかった。

 そこで同社は、肌内部の目に見えないダメージを知り、その蓄積を防ぐことが、肌を美しく保つために重要と考え、長年、肌ダメージの定量方法の開発を目指してきた。

 紫外線を浴びると、肌には活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)が発生し、体内物質を酸化させるが、同社では、そのうちの過酸化脂質が紫外線による肌ダメージにつながることに着目し、紫外線を浴びた肌内部の過酸化脂質量を推測する手法を検討した。

 そこで活用したのが、微弱な生体発光である「バイオフォトン(Biophoton)」だった。活性酸素種(ROS)や一部の過酸化脂質の発生に伴って生じることは突き止めていたが、肌ダメージと関連が深い過酸化脂質のみを検出する手法については確立されていなかった。

 今回の研究では、バイオフォトンを高感度に検出する装置を用い、紫外線を浴びた肌に生じるバイオフォトンの変化について詳細な解析を行った。バイオフォトンは、紫外線照射後数分間にわたってみられる発光現象だが、その多くは照射1分以内に消えていく。

 しかし今回の解析で、過酸化脂質をあらわすバイオフォトンは、照射1~3分後に生じていたことを見出した。さらに、このように特定の時間まで発生が持続するバイオフォトンの量は、従来の評価法である肌の赤みと高い相関を示すことを確認した。

 さらに検討を進めた結果、肌の赤みを生じない程度の弱い紫外線によっても、その強さに応じてバイオフォトンが発生していることがわかった。これにより、紫外線照射1~3分後に発生するバイオフォトン量を計ることで、目に見えない肌ダメージをも高感度に検出できることを突き止めた。

 今回開発した方法により、肌内部の見えないダメージについて理解することは、将来的にシミ・シワ・たるみなどの光老化につながる紫外線によるわずかな肌ダメージの発生や蓄積を防御する技術の開発を促すという。
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