資生堂、リッチなコクとなじみの良さを両立する成分を開発

粧業日報 2019年7月29日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 開発期間約6年、使い続けたくなる心地よいテクスチャーを実現
資生堂、リッチなコクとなじみの良さを両立する成分を開発
 資生堂は、心地よい使用感触を実現する化粧品の研究開発を進める中、このほど、「塗布中にリッチなコクがありながらもスッと肌になじみ、塗布後の肌がべたつかない」という特徴をもった、これまでにない心地よい感触を実現する成分「新規水溶性高分子」の開発に成功した。

 化粧品の感触を調整するなど用途に合わせて幅広く使用される高分子は、単一の分子を結合させること(重合)で長短様々な大きさを作り出すことができ、一般的により大きく長い方がリッチなとろみ・感触を出すことができる。しかし、従来の重合法では、高分子中に様々な長さの分子が混在してしまい、ぬめりやべたつきが生じてしまう問題があった。

 今回は特殊な重合法を用いることで、高分子の長さを適度に揃えることが可能になり、リッチなコクとなじみの良さを両立する高分子をつくり出すことができた。また、本高分子配合基剤が心地よい感触であることを、感性工学・脳科学を用いて定量的に確認した。

 なお、同研究成果は「第84回SCCJ研究討論会」(日本・大阪)(2019年7月18日)にて発表している。

 今回、「塗布中にリッチなコクがありながらもスッと肌になじみ、塗布後の肌がべたつかない感触」を実現するためには、求める使用性を妨げてしまう超巨大分子の存在をコントロールすることが重要と考えた。

 高分子中に超巨大分子が混在するのは、一般的な重合法では速度を制御できないことが原因であるため、特定の重合制御剤を添加し重合速度をコントロールすることで、高分子の長さを制御することを可能にした。

 その結果、分子量が大きいながらも、超巨大分子をほとんど含まない新規水溶性高分子の開発に成功し、塗布中にリッチなコクを感じながらスッと肌になじみ、塗布後の肌はべたつかない、心地よい感触を生み出すことができるようになった。

 資生堂では、今回開発された新規水溶性高分子を配合することで最適なテクスチャーに調整した化粧水を、感性工学・脳科学を用いて塗る時の心地よさを定量的に評価したところ、目的とした感触を持つことにとどまらず、その使用によって脳の快適度も上昇することが確認された。今後もこうした知見をよりよい製品やサービスの開発に応用していく。
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