花王、角層バリア機能が肌の紫外線感受性に与える影響を確認

粧業日報 2019年8月2日号 4ページ

花王、角層バリア機能が肌の紫外線感受性に与える影響を確認
 花王生物科学研究所・スキンケア研究所は、すこやかで美しい肌の研究を深耕する中、皮膚(角層)のバリア機能が低下した肌では、比較的弱い紫外線でも肌に炎症が起こりやすいことを確認した。

 このことから、角層の高いバリア機能は、物質の透過を制御するのと同様に、紫外線(UVB)に対しても機能を発揮していることを見出した。

 近年、アレルギー発症には、口からではなく、皮膚からの原因物質の侵入の影響が大きいこと、発症低減(予防)には、乳児期のスキンケアが重要であることなどが報告され、皮膚のバリア機能の重要性が認識され始めている。

 こうしたことから、同社では、皮膚(角層)のバリア機能に早くから着目し、角層の細胞間に存在する脂質(細胞間脂質)、特にセラミドが、アトピー性皮膚炎患者の角層で減少していることを東京女子医科大学と共同で見出していた。

 2010年11月には、健康な日本人ボランティア女性285名(30~49歳・平均39.6±5.2歳)を対象に、上腕内側の皮膚の色、バリア機能、皮膚の紫外線に対する感受性の測定を行った。

 一般的には、肌の色が暗い方が紫外線に対して強いと思われがちだが、今回の解析の結果、皮膚の紫外線に対する感受性は、皮膚の色よりも、バリア機能の高さに有意に相関して低くなることがわかった。さらに2回、各250人以上のボランティア女性を対象に測定・解析を行い、再現性を確認した。

 同研究により、角層バリア機能が低下した肌は、紫外線の暴露によって、より肌に紅斑を生じやすいことがわかった。

 つまり、皮膚のバリア機能が低い人は、紫外線によるダメージを受けやすいといえ、紫外線により肌が赤くなりやすい人は、角層のバリア機能が低い可能性があるため、皮膚のバリア機能を補うスキンケアや紫外線ケアを、より丁寧に行うことが必要だと考えられるという。

 今後は、この知見を活用し、太陽光を含むさまざまな環境下でも健康で美しい肌で過ごすことができるよう、角層バリア機能が低い乾燥肌、敏感肌などを対象とした紫外線防御技術や、より多くの人を対象にした皮膚バリア機能改善技術などの検討を進めていく。
ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > 花王、角層バリア機能が肌の紫外線感受性に与える影響を確認

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop